10月に入り、ビットコインのハッシュレートは10.8%上昇し、連日過去最高を記録した。ハッシュレートの上昇は、ビットコインネットワークの安全性を高め、多くの要因がこの指標に寄与している。

マイニングリグの価格下落

ハッシュレートは、ビットコインマイナーが1つのブロックをマイニングするのに必要なコンピューティングパワーに関連する。ハッシュレートが高ければ高いほど、マイナーがブロックをマイニングして採掘報酬を得るために、より強力なマイニングリグが必要となる。

2022年に世界市場がチップ不足から回復すると、マイニングリグの主要コンポーネントであるグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)の価格が妥当な値まで下がってきた。弱気相場が続く中、GPU価格の低下はマイニング業者が運用コストを相殺するのに役立った。

GPU pricing update as of September 2022. Source: Techspot

また、ビットメインなどのマイニングリグプロバイダーは、マイナーの利益を取り戻すために、アントマイナーの価格を引き下げた。しかし、既報のように、投資回収は大規模マイナーの場合は11カ月程度、リテールマイナーの場合は15カ月程度となる。

ビットコインマイナーは、激しい競争の中で競争力を維持することを目指し、マイニングリグ価格の下落を利用して機器をアップグレードし続けている。さらに、グレイスケールなどの大手仮想通貨企業も、ビットコインマイニングハードウェアに投資する計画を明らかにしている。

仮想通貨フレンドリーな国家の増加

中国が仮想通貨取引とマイニングを全面的に禁止して以来、他の国々は自国の管轄区域に安全な避難所を提供することで、中国のマイナーを支援している。

カザフスタン、カナダ、ドイツなどの国々は、ビットコインのマイニング業者にとって最初の選択肢の1つとなった。その結果、ビットコインのマイニングは中国への依存度が低下し、より分散化された。

しかし、ケンブリッジセンター・フォー・オルタナティブ・ファイナンスのデータによると、中国は採掘禁止からわずか3カ月で採掘作業を再開し、ビットコインのハッシュレート上昇にさらに貢献した。

現在、ビットコインのハッシュレートに最も貢献しているのは米国で、ジョージア州が30.8%でトップ、次いでテキサス(11.2%)、ケンタッキー(10.9%)、ニューヨーク(9.8%)となっている。

イーサリアムのプルーフオブステークへの移行

イーサリアムは最近、アップグレードに伴い、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行した。その結果、イーサリアムはGPUを使ったマイニング作業をサポートしなくなった。

マイニングの仕組みが突然変わったことで、イーサリアムマイナーは当然、機器を売却するか、ビットコインの採掘に再利用することを余儀なくされた。

ネットワークの安全性が高まったとはいえ、弱気相場が続く中、米ドル換算のマイニング収益がなかなか回復せず、ハッシュレートの上昇が懸念材料になりかねない。