トークナイズされた金には、金の上場投資信託(ETF)など他のペーパーゴールドにはない利点がある――トークン化された金への投資アクセスを提供する分散型自律組織(DAO)「Gold DAO」のメリッサ・ソン氏とダスティン・ベッカー氏がコインテレグラフのインタビューで語った。
両氏が挙げた主な利点は三つだ。第一に、シリアル番号付きの現物金を 1 対 1 で引き換えられる点。第二に、分散型金融(DeFi)の担保として利用できる点。第三に、オンデマンド流動性による高い取引効率だ。
「ETFを購入すると、投資家は金価格の上昇に賭けているだけで、特定の金塊を所有しているわけではない」とソン氏は語った。
また両氏は、2025年に金価格が高騰した背景として、マクロ経済の不確実性、米国政府債務の拡大、そして地政学的緊張が世界の通貨体制を再編しつつある点を挙げた。
マクロ経済の不透明感が金価格を押し上げ、米ドルへの信認を揺るがす
ドナルド・トランプ米大統領が発表した貿易関税によりリスク資産市場(株式や暗号資産)が混乱するなか、金は2025年4月に1オンス = 3,500 ドルの史上最高値を付けた。
トレーダーは変動を回避するため、金や現金など安全資産へ資金を移動。これに伴い、パクソス・ゴールド(PAXG)やテザー・ゴールド(XAUT)など金担保型暗号資産も2024年4月に価格が上昇した。
ビットコイン支持者のマックス・カイザー氏は、金が持つ地政学リスクの低さとインフレ耐性を理由に「金担保トークンは法定通貨担保型ステーブルコインより優位に立つ」と主張。「ロシア、中国、イランは注目すべきだ」と3月22日の X 投稿で述べたうえ、「米ドルの価格変動は小さいが、購買力は徐々に失われる」と警鐘を鳴らした。
現在の金の上昇相場が、ビットコインをリスク資産から価値保存手段として捉える流れを促せば、ビットコイン市場へも波及する可能性がある。