2020年7月はじめ、ノン・ファンジブル・トークン(NFT)の総売上高は1億ドルに達した。そして、それはほんの始まりにすぎない。分散型金融(DeFi)市場ではロックされた価値は40億ドルに達しており、主要な仮想通貨は高値に向かって上昇している中、すぐにNFT市場でもホッケースティックの成長パターンが現れるだろう。なぜそうなのかを見てみよう。
NFTはどこから来たのか?
「仮想通貨の冬」の間にプロジェクトにできる最善のことは、それを立ち上げることだ。これは秘密でもなんでもなく、そして現在最も人気のあるNFTプロジェクトが過去2年間にやってきたことだ。2017年に2000万ドル以上を調達したDecentralandは、今年にローンチに成功した。この調達額の記録は、デジタル空間の区画を販売することで資金を調達するプロジェクトCryptovoxelsが追い越すことになった。一方、有名なNFTコレクターゲームのCryptokittiesを開発したDapper Labsは、NFTに高いスループット環境を提供するために独自のブロックチェーンに取り組んでいる。
仮想通貨(暗号資産)エコシステムは、一般的にこの時期にインフラストラクチャの飛躍を遂げたと言えるだろう。2017年を思い出して欲しい。メタマスク(Metamask)が勢いが増し始めてる間、できることはイーサリアム(ETH)を使用したプロジェクトに参加することだけだった。
私たちが今持っているのは次のようなものだ:価格が維持されたステーブルコイン、ノンカストディアルのウォレット、法定通貨の入口(オンランプ)、資金管理プラットフォーム、分散型ストレージソリューション、そしてデジタルIDプロバイダー。どうですか。これらは数年前にはほとんどなかったものだ。
分散型金融によってもたらされた優れたユースケースと見事なリターンにより、イーサリアムは既に仮想通貨で何度も見られるユーザー行動の新しいサイクルに注目している。最初のハイプ曲線は既に始まっており、上昇するだけだ。マーケットは膨張しており、人々はエコシステムにより多くのマネーを持ち込むだろう。
最高のエントリーポイント
NFT市場はウィンウィンの状況にある。NFTスペースは、これらすべての技術革新から多大な恩恵を受けている一方、仮想通貨に参入する新しい子供たちのための完璧なゲートウェイとして機能する。
予測を立ててみよう。新しいのユーザーの40%がまもなくNFTを介して仮想通貨にアクセスし、そして自分自身で学習をし、ほかのセグメントに着実に移行すると考えている。大胆に聞こえるかもしれないが、これはテクノロジーにおけるネイティブなコンセプトだ。ゲームは常にオンボーディングのメカニズムだった。コンピュータで最初に何をしたのかを思い出して欲しい。マイクロソフトは、マウスを使用して小さなオブジェクトをクリックするように人々に学習させるためにマインスイーパーを開発した。ソリティアはドラッグ&ドロップを練習するために設計された。
なぜNFTが人間の心理に根差しているのか?
理由その1:シンプルさと楽しさ
デジタルアート、ゲーム内のアセット(剣や装備)、カード、子猫を収集するプロセスは、把握するのが非常に簡単な楽しいコンセプトだ。そして金融教育を必要とはしない。ユーザーは、インターフェイスとのやり取り全体をゲームとみなし、ユニークなオブジェクトの所有権に対する感情的な報酬がインセンティブとなる。
ERC-20およびERC-725の最初の作成者であるファビアン・フォーゲルステラー氏は、これらの標準が最近DeFiで成功した金融アプリケーションではなく、楽しいコミュニティトークン(アート、ファッション、エンターテイメント)のために最初に使わたことをインタビューの中で語っている。
イーサリアムアーキテクトのオリジナルのアイデアを実現するNFTは、人々が絵画や花瓶を収集するのと同じパターンに沿うものだ。不変の所有権の記録を持つオブジェクトの視覚的表現は、ユーザーにとって心理的に魅力的だ。
理由その2:希少性と投資の魅力
希少品の価格設定はゼロサムゲームだ。人々は彼らがほかの人々からの需要があるだろうと信じるているオブジェクトを選択する。したがって価格が高くなる。
物理学者でネットワークサイエンティストのアルベルト・ラズロバラバシ氏が The Formulaに書いてあるように、パフォーマンスを測定できない場合、ネットワークが成功を導くカギになる。アートコミュニティでは、人気が高まり、良好な関係を築いている著名クリエイターが、限られた数の作品を制作し、多くのコレクターがこれを求める。これが価格の上昇を促すことになる。
希少性がない業界を考えてみよう。たとえば窓がより高価になれば、より多くの窓が市場に供給される。これは、オブジェクトの価値が心理的な魅力と切り離すことができないNFT市場では不可能であるため、経済サイクルはより明確になる。希少になれば、よりホットなものとなる。
理由その3:アジアでの適応
多くの仮想通貨プロジェクトが、成功するためにアジア市場をターゲットにしているという事実はよく知られたことだ。NFTの場合、面白いコレクターオブジェクトやゲームのコンセプトは韓国や日本などの国が強力な文化的起源であるため、この傾向はより自然なものだろう。
アジアの人々は、視覚的表現を持つオブジェクト、つまりかわいいキャラクターに積極的な関心を持っている。たとえば、キュートな動物たちが街や企業のマスコットになったり、世界で広く使わわている絵文字といったものは、日本が発祥だ。
純粋に市場主導型の裏付けのない資産の価値も、アジアの人々にとっては自然なコンセプトのようだ。仮想通貨登場の前から、ゲーム内通貨を持つゲームは韓国を中心に発展してきた。
次は何か?
需要に応える形で、より多くのゲーム企業やプレイヤーがNFTの分野に参入している。投資するのに最適な資産を探している投資家の注目を集めている。そのため、NFT市場が1億ドルに達するのはそれほどの時間がかからなかった。さらに上記の要因を考えると、総売上高は指数関数的に成長するだろう。
ユーザーの関心と需要が実用的なアプリケーションとリターンの約束によってドライブされるDeFiとは異なり、NFT市場は深い心理的パターンによってドライブされる。世界がますますデジタル化するにつれ、多くのオブジェクトがデジタルネイティブとして出現するが、所有権の問題に対する解決策は既にNFTの形でもたらされている。
相互運用性やガス価格など、導入をさらに促進するために解決すべきいくつかの課題がある。すべてのNFTをすべてのプラットフォームとウォレットで視覚的に表現するには、統合されたレイヤー2ソリューションが必要だ。これは所有権の観点において、重要な心理的要素である。
イーサリアムはシャーディングの遅延とネットワークの輻輳のため、イーサリアム2.0のリリースへの期待に追いつかないでいる。これはガス価格の問題が悪化する可能性があるだろう。
ある新奇な記事の著者は、興味深いメンタルモデルを提供している。断片化(シャード)されたチェーンは、高速道路によって接続された都市と郊外のように機能する。長期的には、レイヤー2ソリューションの1つ、もしくはシャードにNFTの「都市」を含めることが大きなゴールとなるだろう。これが、NFTプロジェクトが同じレイヤー2ソリューションを選択するように勧めているもう1つの理由だ。
まとめると、私たちの前には、様々な成長をもたらすはずの大きな市場があるだろう。
ここに表示された見解および意見は、著者のものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を反映するものではありません。
Alex Salnikov は、デジタルアートにフォーカスしたNFTマーケットプレイスであるRaribleの共同創設者兼プロダクトマネージャーだ。彼はデータサイエンスの修士号を持ち、MarginCall exchangeの共同設立し、CoinOfferingの最高技術責任者も務めた。