分散型金融(DeFi)セクターの成長により、2020年にテザー(USDT)が大量に鋳造された。先月だけでも30億ドルにのぼり、テザーの時価総額は150億ドルを突破した。

今年のはじめには、40億ドル強のテザーが流通していたが、現在ではその額は150億ドルを超えている。多くのDeFiの流動性プールがステーブルコインをベースとしており、DeFiはテザーのマイニングマシンともいうべき原動力となっている。.ステーブルコインの需要が急増し続けているため、テザーのデイリーの平均送金額は先月末にペイパル(PayPal)を超えたと報告されている

テザーはツイッター上で150億ドルのマイルストーンを突破したことを発表し、先月だけで時価総額が30億ドル以上増加したことを明らかにしている。

Flipsidecrypto.comのインフォグラフィックは、ユーザーと取引所間のテザーの動きをイメージ化している。中央集権型取引所では、バイナンス(Binance)とビットフィネックス(Bitfinex)が約20億ドル保有しており、USDT取引で最大のシェアを占めている。

 

Image - flipsidecrypto.com

テザー透明性レポートによると、イーサリアム上のUSDTの流通額は100億ドル以上となっており、供給量全体の3分の2にまで達している。現在、トロンでは約42億ドル、オムニでは13億ドルが流通している。

先月末、テザーはビットフィネックスからバイナンスへ10億ドルのトークンスワップを実施している。バイナンスにはトロンのブロックチェーンに基づく10億ドル分のテザーがあり、同量のイーサリアムベースのテザーと交換したかったため、スワップが行われた。

9月15日、ERC-20バージョンのステーブルコインへの需要がトロンなどほかのネットワークベースのものの需要を上回ったため、テザーによって別のスワップも行われている。

しかし、イーサリアムネットワークではガス料金の問題があるため、テザーをイーサリアムからほかのネットワークにシフトさせる動きも進んでいる。過去1ヶ月間、USDTはイーサリアムのレイヤー2であるOMGネットワークで利用可能となり、高速なSolanaブロックチェーンでローンチされた。

一方、仮想通貨(暗号資産)コミュニティの一部はまだ、150億ドル相当のステーブルコインを裏付ける現実の米ドルや資産が存在するのかをはっきりさせるため、完全な監査を求めている。

この真実は、ニューヨークで進行中のテザー訴訟の一部として明らかになるかもしれない。ニューヨーク州の司法長官室(OAG)は9月8日に財務書類の開示を求める書簡を提出した。この訴訟は、ビットフィネックスが約10億ドルの顧客資金を失い、テザー準備金を使用してそれを補填したのではないかという主張に関係している。テザーとビットフィネックスは訴訟は根拠がないものだと主張している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン