ステーブルコインのテザー(USDT)の発行者は、ユーザーからの関心の低さを理由にビットコイン・オムニレイヤー版の提供を終了すると発表した。このビットコイン版のテザーは、最初に作られたステーブルコインの1つだった。ビットコインキャッシュ(BCH)版とクサマ(KSM)版も同様に提供が終了するとチームは8月17日に発表した。
発表によれば、ビットコイン・オムニレイヤー、クサマ、ビットコインキャッシュでは新たなテザーのトークンは発行されない。少なくとも1年間は償還が可能で、その後の償還については、1年が経過する前に追加で発表があるという。
ビットコイン・オムニレイヤーは、ビットコインのブロックチェーン上に構築されたスマートコントラクトシステムだ。オムニはもともと「マスターコイン」と呼ばれ、2013年7月にリリースされた。これはイーサリアムが登場する2年前のことだった。テザーのオムニレイヤー版は、2014年10月にシステムでリリースされた最初のステーブルコインとなった。そして、すぐに市場で最も高い時価総額のステーブルコインとなり、BitUSDやNuBitsなどの当時のステーブルコインを超えた。
8月17日の発表で、テザーはオムニレイヤー版テザーが仮想通貨の歴史において果たした重要な役割を認めるとともに、「この決定の重要性について理解している。特にオムニについては、テザーが2014年に初めて使用したトランスポート層だったためだ。ビットコイン上に構築されたオムニレイヤーは、テザーの初期の旅路において重要な役割を果たし、それが仮想通貨の世界に対して行った貢献と革新を認めている」と述べた。
しかしながら、チームはオムニレイヤーが「人気のあるトークンの不足と他のブロックチェーンでのUSDTの利用可能性により、課題に直面した」と指摘した。これが取引所がオムニの代わりに他のトランスポート層を使用するようになり、オムニ版USDTの使用が減少し、テザーはその発行を終了することを余儀なくされたという。
テザーは、オムニの使用が増えればオムニレイヤー版を再発行することを検討するともしている。同社はまた、新たなビットコインスマートコントラクトシステム「RGB」版の開発に取り組んでおり、完成次第テザーをRGB版で再発行する計画で、これによりテザーはビットコインのブロックチェーンに戻るという。
2023年にはステーブルコイン間の競争が激化し、テザーの優位性が揺らいでいる。ペイパルは8月7日にペイパルUSドル(PYUSD)をリリースし、バイナンスは7月26日にファーストデジタルUSD(FDUSD)を上場させた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン