米ドル建のステーブルコインUSDT発行元で「仮想通貨業界で最も価値ある企業」とされるテザーの躍進が止まらない。USDTの流通量が他者を凌駕し続けているのだ。
流通額ベースで見ると、テザーが発行するUSDTの市場占有率は現在71%。弱気相場の真っ只中にあった2023年1月時点で50%だったことを考えると大幅な躍進と言える。(TheBlock社調べ)
これに対し最大の競合である米サークル社のUSDコイン(USDC)の市場占有率は20%弱。流通量も2023年一月比で減少している。
テザーの流通総額が現在約15兆円で、これはグアテマラやブルガリアといった国々のGDPを上回る規模だ。
ちなみにテザーは今月コインテレグラフとのインタビューの中で、「テザー社がいつまでも最大のステーブルコインである必要はない」と語っていた。
機関投資家の採用が見込まれるとはいえUSDCの「下剋上」には大きなハードルがある状況だ。
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ステーブルコインの開発と流通は世界中多くの企業がチャレンジしているが、あまりユースケース(実際に使えるシーン)がなく足踏みしているのが現状だ。
暗号資産取引所やウォレット間の送金という実用シーンを早くから握ったテザーの覇権は引き続き続きそうだ。
ちなみにテザーでは最近経営陣の刷新が行われている。長年のCTOであるパオロ・アルドイノ氏が秘密主義的と評されるジャン=ルイ・ヴァン・デル・ヴェルデ前CEOから2022年12月に事業判断を引き継いでいる。
アルドイノ氏は、米国外国資産管理局(OFAC)によって制裁されたウォレットに保管されているUSDTを凍結するなど、近月には法執行機関や規制当局と協調している。