南部貧困法律センター(SPLC)が、極右勢力とビットコインの間の広範な関係性を検討する報告書を公表した。報告書では、それらの勢力の多くが、仮想通貨で富を築いている実態に触れている。

SPLCは12月9日付の報告書『ヘイトウォッチ』で、右翼過激派や白人至上主義者たちが仮想通貨を利用している状況について調査結果を伝え、その多くが仮想通貨による寄付から「数千万ドル」を貯め込んできたと主張している。

報告書『仮想通貨はいかにして白人至上主義運動に革命を起こしたか』は、白人至上主義者やその他の有力な極右過激派と関連する仮想通貨アドレスを600以上特定してまとめ、結論を導き出した。

その主な主張の1つとして、仮想通貨を所有しているアメリカ人は4分の1にも満たないことを前提に置き、次のように述べる:

「ヘイトウォッチは、世界中の極右勢力の有力者の中で、少なくともある程度の仮想通貨の利用を、まだしたことがない人物を見つけるのに苦労した」

仮想通貨を利用するそれらの人物に最も共通する理由は、銀行取引を停止されたから、あるいは取引を隠したいからというものだった。

ウィキペディアで極右愛国主義者および白人至上主義者と説明されているステファン・モリノー氏は、8年間にわたりビットコインでの寄付を受け入れてきた。モリノーと関連付けられたビットコインウォレットの中で最初のものは13年1月25日までさかのぼり、それ以来モリノーの信奉者たちから合計1250ビットコインが寄付されていると、SPLCは指摘する。

モリノー氏への仮想通貨による寄付が128万ドルだったと推定されている。これは、SPLC報告書の調査対象となった他のどの過激派よりも多い金額である。

カール・ソーバーンという仮名で通っているグレッグ・ジョンソン氏は、仮想通貨から80万ドル以上を得た。ジョンソン氏は、物議を醸しているウェブサイト「カウンターカレント」の創設者である。

このサイトは信奉者たちに対し、12種類の仮想通貨で寄付を支払うように求める。現在はその政治的野心を前進させるため、20万ドルの目標額を集めようとしている。

仮想通貨評論家で作家のデビッド・ジェラード氏は、SPLCに宛てたメールの中で、これらの過激派が仮想通貨から稼いでいる金額は一見したところ警戒すべきものではあるが、彼らの活動と全ての仮想通貨を結びつけている理由ではないと語った。同氏は次のように主張する:

「ビットコインは右派の自由至上主義から始まった…これは、ネオナチのサブカルチャーとは全く異なるものだ。とはいえ、偶然にもそこにはナチスの割合が予想以上に多く、ビットコインのサブカルチャーは、わざわざナチスを追い出そうとはしていない」