韓国のサムスンが仮想通貨事業に参入するようだが、これは仮想通貨のマイニングを行う人たちにとって朗報である。
韓国のニュースサイト「ザ・ベル」によって報じられたところによると、サムスンはマイニング用のASIC(特定用途向け集積回路)を自社工場で製造する。これはこの業界を牛耳っている仮想通貨採掘機製造で最大手のビットメイン(比特大陸)に初めての競合をもたらすことになる。
ビットメインの支配を揺るがすか
中国のビットメインは長い間マイニング業界を独占してきた。仮想通貨マイニングに特化したASICを開発したビットメインはビットコインマイニングの世界をあっという間に変えてしまった。
ASICマイニング機はビットコイン取引の承認に使用されているSHA256アルゴリズムを計算することに特化しており、従来のGPUよりも高性能だ。ビットメインは自身のマイニング工場で自社製ASICである「アントマイナー」を運用。
アントプールとBTC.comマイニングプールを通して世界全体のハッシュパワーのうち29%を握り、ビットマイニングの世界でちょっとした厄介者になった。趣味でマイニングを行う人たちも市場から押し退けてしまった。
サムスン参入の影響は大きい
サムスンによる仮想通貨産業への進出がもたらす影響は多岐にわたる。まず家電で有名なサムスンのマイニング用ASICチップは、消費電力が低く性能の高いものになるだろう。
また、ASICマイニング機への強い需要を考えると、多くの有名なテック企業もサムスンに続くかもしれない。(ビットメインの主力商品であるアントマイナーS9の新しいバッチは、ウェブサイトで発表されてから数分のうちに売り切れとなっている。)サムスンのような有名企業の参入は、仮想通貨のマイニングを有望な事業としてさらに正当化する。
サムスンはアルトコイン採掘に特化したGPUマイニングチップも開発していると言われる。これはイーサリアム等のマイナーにとっては良い知らせになるかもしれないが、真相が明らかになるにはさらなる発表を待つ必要がある。
サムスンはまず中国市場向けにチップを製造すると言われており、その他の地域がいつ同社製ASICマイニング機を入手できるかは明らかになっていない。
サムスンはビットメインの牙城を揺るがせるか。興味深い戦いになりそうだ。