ロシア連邦核センターに勤務するエンジニア数人が、同国が所有するスーパーコンピューターのひとつを使ってビットコインを採掘しようとしたとして逮捕された。今月9日にインタファクス通信が伝えた。

 およそ2万人が働く連邦核センターは、人目から隠されていたかつての閉鎖都市サロフに位置する。ソビエト時代に最初の核爆弾が製造されたサロフは、現在でも外国人はもちろん一般のロシア人も特別許可無しに入域することはできず、街の周囲は有刺鉄線で囲まれ、軍が監視している。

 核研究施設のタチアナ・ザレスカヤ広報部長はインタファクス通信の取材に対し、刑事事件としてエンジニアらに対する捜査が開始されたと認識していると答えている。

 「いわゆるビットコインの採掘を含む私的な目的のために、コンピューター施設を許可無く使用しようとする試みがあった。 技術的に見込みのない、刑罰の対象となる活動だった」と説明した。

 同施設のスーパーコンピューターは1ペタフロップスの処理性能を有し、浮動小数点演算を1秒あたり1000兆回行うことができるが、セキュリティの観点からインターネットには接続されていなかった。今回逮捕されたエンジニアらが採掘をするためにスーパーコンピューターをインターネットに接続しようとした時に、センターの保安部がその試みを阻止し、彼らを拘束した。

 ロシアではビットコインを合法化するための法整備が進められているが、マイニング活動の登録制を含めどのように規制されるかはまだ明らかになっていない。

 旧ソ連の軍事施設を仮想通貨の採掘に使おうと考えたのは、今回逮捕されたエンジニア達が初めてではない。仮想通貨採掘に従事するアイスロックマイニング社は、カザフスタンのアルマティの洞窟にある旧ソ連軍の地下シェルターでの採掘活動を計画している。

 同社によれば、地下シェルターの天然の寒冷な気候と水力発電所の近くという立地が、費用効率の高い理想的な採掘場にしているという。