2008年8月、ビットコインの作成者であるサトシ・ナカモトは、匿名のドメインレジストラーを通じて、Bitcoin.orgを購入した。
サトシが姿を消したとき、彼はサイト運営を複数の個人に任せる形となった。それ以来、Bitcoin.orgは主に教育リソースとして機能しており、仮想通貨業界への新規参入者がブロックチェーン技術を学習するのを支援している。
しかし、4月にTheymosがウェブサイトから離脱し、現在のドメイン管理者がCobraであるというニュースを受け、Bitcoin.orgの将来ははっきりしていない状況だ。
サイトのオーナーが変更される
Bitcoin.orgの匿名のキュレーターであるCobraは、サイトの当時の管理者だったTheymosによって、6年前にウェブサイトの共同所有者として発表されていた。Theymosはr/bitcoinやBitcoin wikiページなどを管理しているといわれる匿名の人物だ。
ウェブサイトの手綱を引き継いで以来、ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)アルゴリズムやビットコインホワイトペーパーの変更といったこと提案し、Cobraは物議を醸す存在となっている。
「信頼できる人物の手に」
5月のはじめ、Cobraは2020年にウェブサイトへの関与を徐々に減らしていくと発表した。
Cobraは発表の中で、「ドメイン名は信頼できる人物の手に渡るだろう」と述べ、「数人の人物がすでに頭に浮かんでいる」と付け加えている。
Cobraは「徹底して細心の注意を払い、適切な人物を見つける計画だ」とコミュニティに主張している。
ロジャー・バー氏の名前が浮上
Cobraはドメインの購入予定者の具体名は挙げていないが、Redditのスレッドでは、Bitcoin.comの所有者であり、ビットコインキャッシュ(BCH)支持者であるロジャー・バー氏が、Bitcoin.orgの購入者になるのではないかと議論されている。
Redditのユーザーは、誰が新しい所有者になるかを議論し、Cobraに対してドメインをバー氏に売却するかどうかを尋ねた。
これに対して、バー氏は自身のハンドルネーム(MemoryDealers)で次のようにコメントした。
「私は現金を持っている」
ビットコインキャッシュにつながったハードフォーク以来、ロジャー・バー氏はビットコインのコミュニティの中で批判の的にさらされている。Bitcoin.comのドメイン名を利用して、「実際の」ビットコインに不確実性をもたらしたという非難もある。その結果、仮想通貨の新規参入者がビットコイン(BTC)ではなく、ビットコインキャッシュ(BCH)を買ってしまったという指摘もある。
「購入は期待できない」
コインテレグラフはバー氏にコンタクトを取り、Bitcoin.orgの購入への関心について聞いた。
バー氏は「喜んでそれを購入する」と答えたが、Cobraがバー氏にそれを売ることは期待できないとも述べた。バー氏はまた、Redditにコメントした以外、Bitcoin.orgを購入するために具体的な交渉をしているわけではないとも述べた。
バー氏は、Bitcoin.orgを手に入れたどうするのかという質問に対して、「それを使って、ピアツーピアの電子キャッシュシステムを宣伝する」と語ったが、ドメインを購入する可能性は低いため、具体的なことは考えていないとも述べている。
Bitcoin.orgの管理を引き継ぐのに最も適した人物は誰かという質問について、バー氏は次のように述べた。
「おそらく、仮想通貨企業で構成されるビットコイン・ファンデーションのような組織だろう。EFF(電子フロンティア財団)も悪くないかもしれない。表現の自由をサポートする人物なら、現在のグループよりも優れているだろう」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン