ビットコインキャッシュが8月に誕生して以来、ビットコインとの間で綱引きが続いている。

 今月8日になされたセグウィット2x中止のアナウンスをきっかけに、ブロックサイズの引き上げを通してビットコインの処理能力を上げようとするグループがビットコインキャッシュに流れ、一時2300ドルまで暴騰後、反落。一方でビットコインはビットコインキャッシュに押される形で2300ドル程度下落したが、すぐ回復した。20日現在、8000ドルを突破し史上最高値をつけている。

 今回のビットコインキャッシュの暴騰は、eToro等それまで中立を保っていた取引所もビットコインキャッシュを扱うきっかけとなっている。

 ビットコインの黎明期から「宣教活動」を行い「ビットコイン界のイエス・キリスト」として知られるロジャー・バー(Roger Ver)氏は、ビットコインキャッシュの主要な支援者だ。同氏によると、ビットコインの未来はビットコインキャッシュにあるという。

バー氏はコインテレグラフとの取材で、次の通り述べている。

ビットコインキャッシュが本当のビットコインで、将来より多くの時価総額、取引量、ユーザー数を有することになる。

 現状、ビットコインに比べるとビットコインキャッシュの時価総額は5分の1、取引量は半分、そして総供給量はやや多い程度だ。

内輪もめは悪いことではない

 カナダに本拠を置くビットコイン決済関連企業のネットコインズ社でCEOを務めるマイケル・ボーゲル氏は、ビットコインを含む仮想通貨は世界で一番大きく野心的なオープンソースのプロジェクトだと見る。同氏によると、オープンソース的性質の強いLINUXも異なったバージョンの支援者間での争いがよく起きることで有名。ビットコインのコミュニティの内輪争いも暫時的な障害物にすぎず、これを乗り越えればビットコインは更に強く、打たれ強いテクノロジーに成長するという

異なった仮想通貨の派閥間の問題や内輪争いは悪いことではない。民主主義が機能するのをみているようなものだから。これは成長痛のようなもので、障害物を壊していければ、ビットコインはさらに強く、打たれ強くなる。夏にあったビットコインキャッシュの分岐以来、ビットコインが高値更新をし続けている理由はここにあるとみている。ビットコインのユーザーは、新たな分岐があるたびに、「ビットコインは依然としてビットコインだ」ということに気づいてきたのだ。

市場操作するマーケット・メーカーの存在

 ハードウェアの仮想通貨ウォレット企業BitLox者でディレクターを務めるダナ・ツォーイー氏は、一連の流れの中で、仮想通貨がまだ未成熟であることを逆手にとるマーケット・メーカーの存在を指摘する。同氏はコインテレグラフとの取材の中で、ビットコインとビットコインキャッシュをめぐる動きは、噂と推測に突き動かされた純粋なボラティリティーの高まりであると述べた。同氏によると、マーケット・メーカーの動きを察知するのは容易だという。

仮想通貨は遠くの道のりをあるいてきたが、経済全体の中ではまだまだ小さいことを忘れてはいけない。だから大きな国家経済のプレーヤーがお金を動かすと、仮想通貨価格も巨大な影響をうけてしまう。結局は、ビットコインはユーザーの、いやユーザーの信念だけを根拠に成立したり崩壊したりするのだ。

ビットコイン派vsキャッシュ派:引き続き要注意

 ビットコインキャッシュについては、ビットレックス、クラーケン、ビアビットコイン、ビーター等仮想通貨取引所が扱いを初めて以来普及は頭打ちになっていたが、今回の暴騰劇以後、まだまだ興味深い動きがでてきそうだ。