DAG構造進化させる「ファントム」論文発表  チェーン上でスケーラビリティ問題解決なるか

 今週、エルサレム・ヘブライ大学の博士号取得候補者ヨナタン・ソンポリンスキー氏とアビブ・ゾハール博士は、新しいスケーラブルなBlockDAG(ブロックチェーンに代わるネットワーク構造)であるPHANTOM(ファントム)と呼ばれるプロトコルに関する論文を発表した。

 これはブロックチェーンの取引処理性能や安全性を向上させる試みの一つだが、ライトニングネットワークのようにブロックチェーンの外に新たなレイヤーを敷くのではなく、あくまでもチェーン上の解決策だ。DAG(有向非循環グラフ)という複雑なネットワーク構造を使う。

 そもそもファントムの前身は13年に発表したGHOSTプロトコルに関する論文だ。初めてBlockDAGを提唱したGHOSTは、ブロックチェーンを樹(ツリー)構造に変えることで、セキュリティや取引承認速度を改善しようとしていた。

 昨年11月に開催された「ブロックチェーン・イン・バークレー」の講演で、ソンポリンスキー氏はBlockDAG構造をあらゆる人に同時にサービスを提供できる構造として説明した。新しいブロックが検証され次第ひとつずつチェーンに加えられていくブロックチェーンの構造とは対照的である。

DAG mining

 今回のPHANTOM論文は、前に来る複数のブロックに投票を行うことで取引承認するSPECTRE(スペクター)プロトコルを発展させている。だがSPECTREとは異なり、PHANTOMはBlockDAGプロトコルに「Greedyアルゴリズム」を採用。「正直なノードにより適切に採掘されたブロックと、DAG(有向非循環グラフ)のマイニングプロトコルから逸脱した非協力的ノードにより採掘されたブロックとを識別する」ことで、より線形のブロック構造を構築する。

 PHANTOMで導入される線形構造は、SPECTREの特徴だった取引承認速度の短縮を犠牲にすることを意味するが、同論文は「両者の長所を活かす」ために2つのプロトコルを組み合わせる可能性についても提起している。

 ほとんどの仮想通貨はブロックチェーンのプロトコルを採用しているが、BlockDAGを採用する仮想通貨もいくつか存在する。バイトボール(Byteball)はDAGベースの仮想通貨であり、トランザクションは互いにリンクされ、各トランザクションには前のトランザクションのハッシュ値が含まれる。アイオタ(IOTA)もDAGベースの仮想通貨であり、新たなトランザクションを作成するには最低2つの先行するトランザクションを検証する必要がある。

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