SNSプラットフォームのレディットが、OpenAIのサム・アルトマン氏が共同設立した「ワールド」プロジェクトの虹彩スキャン機器「オーブ」の導入を検討していると報じられた。
セマフォ―の6月21日の報道によれば、レディットがワールドの「ワールドID」システムを活用し、ユーザーが“唯一の個人”であることを確認する仕組みを模索しているという。この認証システムでは、本人確認を行っても、ユーザーは匿名のまま利用を続けることが可能だという。
しかしこの報道を受け、レディットユーザーの間では「プライバシーと匿名性の侵害だ」とする批判が噴出しており、アカウント削除や他プラットフォームへの移行を検討する声も多く上がっている。
レディットユーザーのSavi321氏は、「レディットが仮想通貨領域に参入するのは嬉しいことか?それとも、過去に拒否された手法で我々を確認しようとしているのは悲しむべきか?奇妙な世界だ」と皮肉交じりに投稿した。
虹彩スキャンによる生体データ収集を行うワールドの「オーブ」には、業界関係者や政策立案者からも反発が相次いでいる。なかにはデータ収集の禁止を求める声もある。2025年5月時点で、ワールドは1200万人以上が虹彩をスキャンしたと公表している。
ワールドは4月に、米国のアトランタ、オースティン、ロサンゼルス、マイアミ、ナッシュビル、サンフランシスコの6都市でサービスを展開する計画を明らかにしていた。
TinderやHingeを運営するマッチ・グループも、同社のアプリにおいてワールドIDを活用したパイロットプログラムを開始すると発表している。またVisaは4月、虹彩スキャンを完了したワールドユーザー向けにクレジットカードを発行すると発表している。
レディットのスティーブ・ハフマンCEOは、5月5日の投稿で、「AIへの対応や年齢確認など、規制要件への対応のために、ユーザーについてもう少し多くの情報が必要になる」と説明していた。この時点ではワールドの「オーブ」との関係には一切言及していない。
「具体的には、あなたが“人間”であるかどうか、また一部の地域では“成人”であるかどうかを確認する必要がある」とハフマン氏は述べた。「ただし、我々はあなたの名前や身元を知りたいとは思っていない。そのため、必要最小限の情報だけを提供する第三者サービスと提携する予定だ」。