米国の戦略的ビットコイン準備金(SBR)の創設により、政府が将来的にビットコインを「禁止」する可能性が大幅に低下し、他国のビットコイン導入を促進する可能性があると仮想通貨業界関係者は指摘している。
米政府、ビットコイン準備金を創設
3月7日、トランプ大統領は戦略的ビットコイン準備金とデジタル資産備蓄の創設を命じる大統領令に署名した。
ホワイトハウスの仮想通貨責任者であるデビッド・サックス氏は、この準備金が「刑事または民事の資産没収手続きを通じて政府が保有するビットコインを原資とする」と説明した。この発表により、市場は新規購入がないことに失望し、ビットコイン価格は直後に6%下落した。
しかし、一部の業界関係者は、市場の反応は誤りであり、このニュースはむしろ強気材料と捉えるべきだと主張している。
ビットコイン準備金の大統領令に署名 Source: David Sacks
ビットコイン禁止の可能性が大幅に低下
ビットワイズの最高投資責任者(CIO)であるマット・ホーガン氏は、米国によるビットコイン準備金創設を受け、「政府が将来的にビットコインを禁止する可能性を大幅に低下させた」と述べた。
ホーガン氏はまた、米国のビットコイン準備金創設により、他国も独自のビットコイン準備金を設立する可能性が高まり、その検討を急ぐ要因になると指摘した。
「米国がビットコインを買い進める前に先手を打つ短い時間がある」とし、各国がビットコインの保有戦略を加速させるきっかけになる可能性を示唆した。BitBOによれば、現在米国はビットコイン保有量で世界最大の国家であり、20万7189BTC(約180億ドル相当)を保有している。
2位は中国で19万4000BTC、3位は英国で6万1000BTCとなっている。
エルサルバドルは、唯一ビットコインを法定通貨として採用している国であり、引き続き積極的にBTCを買い増している。同国のビットコイン局のデータによると、現在の保有量は6103BTC(約5億3,400万ドル相当)となっている。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、「G20諸国の多くがこの動きを注視し、最終的には米国のリーダーシップに追随するだろう」と述べた。
機関投資家のビットコイン保有を正当化
ホーガン氏は、米国のビットコイン準備金の創設によって、国際通貨基金(IMF)などの機関が「ビットコインは危険」または「不適切な資産」だと主張するのが困難になるとも指摘した。
IMFはこれまで、エルサルバドルのような主権国家によるビットコイン投資に対して否定的な立場をとってきた。
3月3日には、IMFがエルサルバドルに14億ドルの融資を承認したが、その条件として「政府によるビットコインの自主的な追加取得を行わないこと」を求めたことが明らかになっている。
ビットワイズのリサーチ責任者ライアン・ラスムッセン氏は、「米国が世界中のビットコインを買い占めるというわけではない」としつつも、戦略的ビットコイン準備金の設立は大きな転換点であると強調した。
「SBRが意味するのは、他国もビットコインを買い始めること、資産運用会社や金融機関がビットコインを無視できなくなること、米国が今後さらなるBTC購入を行う可能性が高まること、そしてビットコインが禁止される可能性が完全にゼロになったことだ」
ライトスパークの共同創設者兼CEOのデビッド・マーカス氏は、「今回の決定はバランスの取れたものであり、現時点では正しい判断だ」と評価し、「理性が勝ったことを喜ばしく思う」とコメントした。
ビットコインの成長は加速するか
一方、仮想通貨を専門とする弁護士のジョン・ディートン氏は、スコット・ベッセント財務長官とハワード・ラトニック商務長官が「予算中立的な方法でビットコインを取得するよう大統領から指示を受けた」ことに言及した。
「2年前にこんな話をしたら、笑いものにされていただろう」とディートン氏は語った。
ETFストアのネイト・ジェラチ社長は、「ちょうど1年前に米国初の現物ビットコインETFが承認されたばかりだ」と指摘し、ビットコイン市場の成長が急速に進んでいることを強調した。