4月7日、CBOEボラティリティ指数(VIX)は異例の60まで急騰した。これは極端な市場の恐怖と不確実性を示す水準であり、過去35年間で60に到達したのはわずか5回に過ぎない。10Tファンドの最高経営責任者(CEO)であるダン・タピエロ氏によれば、過去のデータは、VIXの急騰後6~12カ月以内にビットコイン(BTC)などのリスク資産が反発する傾向を示している。

Cryptocurrencies, Bitcoin Price, Markets
CBOEボラティリティ指数 Source: Cointelegraph/TradingView

VIXは「恐怖指数」として知られ、S&P500オプション取引に基づき、市場の変動性への予想を反映する。チャートによれば、2008年の金融危機や2020年の新型コロナ危機の際にVIXは急騰しており、それらはパニック的な売りが市場の底打ちと長期的なエントリーポイントをもたらした場面でもあった。

タピエロ氏は、今回の急騰も同様の意味合いを持つとし、最悪の恐怖はすでに「織り込み済み」である可能性が高く、今後の回復に向けた条件が整いつつあると主張した。「今後の展望は明るい方に賭けるべきだ」と述べている。

同様に、グローバル・マクロ・インベスター(GMI)のマクロリサーチ責任者ジュリアン・ビッテル氏もタピエロ氏の見解を支持しており、テック株は新型コロナ時の暴落以来で最も売られすぎ状態にあると指摘している。ナスダック100構成銘柄のうち55%以上が14日間のRSI(相対力指数)で30を下回っており、このような状況は、2008年のリーマン・ショックや2020年のパンデミックといった危機時にのみ見られたものだという。

Cryptocurrencies, Bitcoin Price, Markets
American Association of Individual Investors survey. Source: X.com

ビッテル氏によれば、VIXが60に到達したことで市場の不確実はピークに達し、それが投資家心理に恐怖をもたらしていると。また、米インベスターズ・インテリジェンス調査によると、現在の強気センチメントは23.6%と、2008年12月以来の低水準だ。

さらに、米個人投資家協会(AAII)の調査では、回答者の62%が弱気と答えており、これは2009年3月以来の高水準となっている。ビッテル氏はこう語る。

「言い換えれば、我々はリーマン危機後で株式市場が底を付けた時と同じ水準の恐怖の中に戻ってきているということだ」

このような広範な恐怖心理とVIXの急騰は、ビットコインのようなリスク資産にとって有利なエントリーポイントとなる可能性がある。市場流動性の回復が進めば、リスク資産に資金が戻ることが予想される。

ビットコイン/VIX比率は弱気シグナルとの指摘

一方で、マクロ経済の専門家がリスク資産の強気展開を見込む中、市場アナリストのトニー・セヴェリーノ氏は、ビットコイン/VIXの比率が弱気相場入りを示している可能性を指摘している。セヴェリーノ氏は最近のX投稿で、ビットコインはすでに今回の相場サイクルでピークをつけた可能性があるとしつつ、4月末までには見解が変わるかもしれないと述べた。

Cryptocurrencies, Bitcoin Price, Markets
セヴェリーノ氏によるビットコイン/VIX分析 Source: X.com

セヴェリーノ氏は、今年1月初めに売却シグナルが点灯していたとし、エリオット波動理論を用いて現在の弱気状況を説明している。VIXとの相関に基づきビットコインが強気転換すると断言するにはまだ時期尚早であるとの見方を示している。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】