ポイント
・10.6万ドルで抑えられ、一時10万ドル台に 下落
・米中首脳会談の失望売りとトランプ発言で重圧
・マスク氏とトランプ対立でテスラ株・DOGE急落、BTCも連れ安に
・雇用統計は弱い数字をポジティブに反応しやすいか
昨日のBTC相場
昨日のBTC市場は下落した。
10.6万ドル(約1,525万円)に上値を抑えられると、一時10万ドル(約1,440万円)台に失速した。
BTCは週末に10.3万ドル台で切り返すと、米中首脳会談が今週中に開催されるとの期待感から、火曜日にレジスタンスだった10.6万ドルを突破。水曜日には10.7万ドル手前まで上値を伸ばした。
しかし、この10.7万ドル水準が5月27日の戻り高値からの半値戻しに相当したため、跳ね返されるとじりじりと値を下げた。トランプ大統領がSNSで「習近平国家主席は好きだが、タフで交渉が難しい」と弱気なコメントを投稿し、首脳会談実現に暗雲が漂ったことも相場の上値を重くした。
昨日は10.5万ドルを挟んだもみ合い推移が続いたが、海外時間に入り、新華社が米中首脳会談が開催されたと報じると期待感からBTCは強含んだ。
しかし、10.6万ドルで跳ね返されると失速。ETFフローがマイナスに転じたこともあり、米株市場がオープンすると値を下げ始めた。
さらに、米中首脳会談の成果が乏しいとの失望売りも加わり、10.4万ドル近辺まで値を下げた。
6月2日の安値10.4万ドルや5月31日の安値10.3万ドルにサポートされていたが、SNS上でのE・マスク氏の減税法案への批判や共和党員への造反の働きかけに対し、トランプ大統領が「マスク氏の反対はEV優遇の撤廃への不満によるもので、財政削減したいならスペースXへの補助金を打ち切ればいい」と投稿。これに激高したマスク氏がトランプ氏のスキャンダルや弾劾に言及し始めると、テスラ株が急落。マスク氏が推すドージコインも大きく値を崩す中、BTCは一時10万ドル台まで値を落とした。
しかし、サークル社のIPOが成功裏に終わり、ブルームバーグがUberが国際決済にステーブルコインの利用を検討していると報じる中、BTCは10.2万ドル台に値を戻した。
本日のBTC相場
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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。