ポイント
・上昇一服、高値圏でのもみ合い
・オプションストライクの影響か9.5万ドル手前で上値を抑えられる
・通商交渉進展期待とウクライナ和平後退が交錯
・週次のETFフローは既に史上3番目、様子見していた投資家が動き始めた
昨日のBTC相場
昨日のBTC市場は高値圏でのもみ合い推移となった。
9.4万ドル(約1,345万円)台で上値を抑えられると、一時9.2万ドル(約1,315万円)を割り込んだが、再び9.4万ドル台に上昇。しかし、足元では9.2万ドル台に失速している。
先週何度も跳ね返されていた8.6万ドル近辺のレジスタンスを週明けにクリアし、一目均衡表の雲の中に突入。火曜日から水曜日にかけ、200日移動平均線、ダブルトップのネックライン、一目均衡表の雲の上限が重なる8.9万ドルを上抜け、9.1万ドル台まで上昇した。さらに、トランプ大統領が「パウエルFRB議長を解任する意図はない」「対中関税もいずれ引き下げる」と発言したことで、史上最高値10.9万ドルと直近安値7.4万ドルとの半値戻しである9.2万ドルをブレーク。上昇トレンドへの転換が意識された。
また、ソフトバンクとテザー社が新たなファンドを立ち上げ、42,000BTCを購入する計画が伝わり、WSJが「対中関税が50~65%に引き下げられる見通し」と報じたことで、昨日未明に9.5万ドルに迫るも、オプションストライクの影響もあり失速。レジスタンスだった9.2万ドル近辺でサポートされると、再び9.4万ドル台に値を伸ばしたが、ウクライナ和平交渉の難航やロシアのキエフへの大規模攻撃もあり、BTCはじりじりと値を下げた。
さらに、中国が「米国と交渉していない」と米国側の見方を否定すると、BTCは一時9.2万ドルを割り込んだ。しかし、米株先物が上昇に転じるとBTCも切り返し。ハマック・クリーブランド連銀総裁が6月利下げの可能性を示唆し、ウォラーFRB理事は7月までの利下げに否定的ながら「関税の物価への影響は一時的で、雇用が悪化すれば利下げを支持する」と述べ、BTCは9.3万ドル台に値を戻した。
その後もトランプ大統領が今朝、中国側と交渉を行ったと発言するなど、貿易交渉への楽観的な見方が広がった。一方で、トランプ大統領が停戦案に難色を示すゼレンスキー大統領を非難し、同時にロシアのキエフ攻撃についてプーチン大統領を非難するなど、ウクライナ和平ムードが後退。これが相場の重しとなった。そうした中、今朝方9.4万ドル台半ばに値を伸ばしたが、オプションの影響もあり、再び同水準で上値を抑えられている。
本日のBTC相場
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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。