ポイント

・BTC続伸、9.5万ドル手前まで上昇。

・ETFフロー回復、9億ドル台を記録。

・関税引き下げ報道で上昇も9.5万ドルに跳ね返される

・貿易交渉・和平問題・金融緩和で動きがあるかに注目

昨日のBTC相場

昨日のBTC市場は続伸した。

一昨日から昨日未明にかけて8.9万ドル(約1,270万円)のレジスタンスを突破すると、9.1万ドル台(約1,300万円)まで上昇。さらに朝方には9.4万ドル(約1,345万円)手前まで値を伸ばし、海外時間に入ると9.5万ドル(約1,360万円)手前まで上伸した。 

先週、BTCは一目均衡表の雲の下限である8.6万ドル台で上値を抑えられていたが、週末のFRB議長解任騒動による信頼低下を背景としたドル売り圧力を受け、週明けに一目均衡表の雲の中に突入。底打ち感が鮮明となった。さらに火曜日から水曜日にかけて、200日移動平均線、ダブルトップのネックライン、一目均衡表の雲の上限が重なる8.9万ドルを上抜け、9.1万ドル台まで上昇した。 

この堅調な相場展開の背景には、ETFフローの回復が挙げられる。一昨日は9億ドル台の流入を記録し、1月20日の史上最高値を演出した1月17日以来の水準となった。 

史上最高値10.9万ドルと直近の安値7.4万ドルとの半値戻しである9.2万ドルに上値を抑えられていたが、トランプ大統領が「パウエルFRB議長を解任する意図はない」「対中関税もいずれ引き下げる」との意向が伝わると、BTCは9.2万ドルを突破。さらに、ラトニック商務長官がCEOを務めたキャンター社がソフトバンクやテザー社らと30億ドル規模の暗号資産投資ファンドを立ち上げると報じられ、9.4万ドルに迫った。 

海外時間に入ると、9.4万ドル台に達し、同ファンドが42,000BTCを購入する計画と伝わって強含んだ。しかし、WSJが「対中関税が50~65%に引き下げられる見通し」と報じたことで9.5万ドルに迫るも、オプションストライクの影響もあってか跳ね返されて失速する展開となった。 

それでも、従来のレジスタンスだった9.2万ドルがサポートに転じ、良好な5年債入札も追い風となり、9.4万ドル台を回復。その後は概ね9.3万ドル台で推移している。

本日のBTC相場

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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト

東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。