ポイント

・BTC市場は続伸、8.9万ドルに迫る

・ウクライナ和平交渉がBTC上昇の材料

・ドル信認低下もBTC買いを後押し

・8.9万ドル突破で上昇トレンド転換か

昨日のBTC相場

昨日のBTC市場は続伸。

朝方、週末のレンジを抜け8.7万ドル(約1,225万円)台半ばまで上昇、海外時間には8.8万ドル(約1,240万円)台半ばまで上値を伸ばし、一旦8.6万ドル(約1,210万円)台に反落したが、今朝方8.9万ドル(約1,255万円)に迫っている。

BTCは7.4万ドル台でダブルボトムを形成すると、史上最高値からのトレンドラインや一目均衡表の雲の上限が重なる8.6万ドル台で上値を押さえられた。

その後、米中貿易交渉や景気への影響など不透明感が広がる中、米欧がイースター休暇に入り8.3万ドルから8.5万ドル台半ばのレンジ内での動意の薄い展開が続いた。

ただ休暇中にルビオ国務長官が早期の和平合意が無ければ米国は交渉仲介から撤退することを示唆し、トランプ大統領もこの考え方を支持したことでウクライナ和平交渉が材料に浮上、またハセットNEC委員長がパウエル議長の政策を批判、解任の検討を認めたことで、議長の去就も材料視され始めた。

週明けはトランプ大統領が「うまくいけば、ロシアとウクライナは今週中に合意に達するだろう」とし、続いてダウジョーンズなどが米国がクリミア半島のロシア領承認とウクライナのNATO加盟断念との停戦条件をウクライナに迫っていると報じ、和平が近いとの見方からBTCは上昇。また週明けの為替市場では議長の解任騒動が中銀の独立性、ひいてはドルの信認低下というストーリーでドル売りが強まり、法定通貨からの逃避という見方からBTCは週末のレンジの上限8.5万ドル半ばを抜けると8.7万ドル台まで急騰した。

その後も、8.7万ドル近辺で下げ渋っていたが、大統領が多くの国が予防的な利下げをしていて、米インフレも低下気味なのに、利下げしようとしないパウエル議長をミスター・トゥーレイトと痛烈に批判。ドル信認低下というストーリーで米株は下落したもののBTCは上昇、8.8万ドル台半ばに上昇した。

ダブルトップとなった3月24日と4月2日の高値で一旦上値を押さえられたが、米欧ウクライナの会合が23日ロンドンで開催されることとなり、また米株先が上昇に転じると、BTCは再び上昇、8.9万ドル手前まで値を伸ばしている。

本日のBTC相場

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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト

東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。