ポイント
- 8.5万ドルのレジスタンス上抜け、一時8.7万ドル
- リップル社CEO、SEC控訴取下げ見通しを公表
- FOMCでQT減速、議長会見で関税インフレは一時的とコメント
- トランプ大統領が現役大統領として初めて暗号資産関連イベントに登壇
昨日のBTC相場
昨日一昨日のBTC相場は堅調な展開。
火曜日から水曜日未明にかけて8.1万ドル(約1205万円)台で切り返すと、昨日は一時8.7万ドル(約1295万円)台まで上昇した。昨晩から未明にかけて8.6万ドル(約1280万円)から8.3万ドル(約1235万円台)に失速したものの、足元では8.5万ドル(約1265万円)近辺に持ち直している。
BTCは先週、7.6万ドル台から反発し、週末にかけて8.5万ドル台に値を戻したが、中東情勢の悪化もあり上値を抑えられ、火曜日から水曜日未明にかけて8.1万ドル近辺に値を下げた。しかし、20年債入札を無事に通過し、米ロ首脳会談で全面停戦には至らなかったものの、エネルギー施設に対する部分停戦が合意されると、市場はこれを一歩前進と評価。リスクオン気味の流れの中、BTCは値を戻していった。ETFフローが月曜日と火曜日の2営業日連続で2億ドルを超えたことも追い風となった可能性がある。
水曜日にリップル社のガーリングハウスCEOが、近くSECが控訴を取り下げ、5年にわたる訴訟が終わる見通しを示したことでXRPが急騰。BTCも連れ高となり、8.5万ドルに迫った。注目のFOMCでは金利据え置きが決定され、ドットチャートは年2回の利下げ予想と事前予想通りだったが、4月からのバランスシート縮小(QT)ペースを減速することが決定され、BTCは8.5万ドルに迫った。さらに会見でパウエル議長が、関税によるインフレは一時的との見方を示したこともあり、BTCは8.6万ドル手前に急伸した。
さらに、暗号資産関連メディアであるBlockworksが主催するDigital Asset Summitにトランプ大統領が登壇すると伝わると、一時8.7万ドル台に値を伸ばした。水曜日のETFフローは1200万ドルに減速したこともあり、8.4万ドル台に値を落としたが、トランプ大統領のスピーチを前に期待先行で8.6万ドル台に反発した。しかし、米国が暗号資産業界で支配的地位を占めるといった従来の主張を繰り返しただけで5分間のスピーチが終わると、「Sell the Fact」気味にBTCは失速。同大統領がFRBに利下げを迫ったことなども嫌気され、米株が失速するとBTCは8.3万ドル台に下落した。
その後、SECがBTCなどのマイニングは管轄外との声明を出したことなどが好感され、BTCは8.5万ドル近辺に値を戻している。
本日のBTC相場
続きはこちら
著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。