著者 松田康生（まつだやすお）楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・66,000ドル台ワンタッチ後、失速し、62,000ドルにワンタッチ
・総裁選の結果を受けた日本株の下落、イスラエルのレバノン地上侵攻
・パウエル議長講演はほぼFOMCと不変も市場はタカ派に受け取る
・今日から国慶節、10月はUPTOBERとも呼ばれている
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は下落。
朝方66,000ドル（約950万円）台で上値を押さえられると、93,000ドル（920万円）台に失速、今朝方は一時62,000ドル（約905万円）台に値を下げた。
BTCは8月の戻り高値65,000ドルをクリア、金曜日のオプションカットからCME先物の9月限最終取引時限にかけて66,000ドル台半ばに値を伸ばしたが、イスラエルのベイルート空爆が嫌気され、週末は65,000ドル台での推移が続いた。
昨日は早朝に66,000ドルにワンタッチしたが、金曜日の引け後に総裁選で石破氏が当選、高市氏当選を見込んだ円安の巻き戻しが入ったことを嫌気し、日本株が一時2000円近く下落、リスクオフの流れの中で失速、先週のレジスタンスがサポートとなっていた65,000ドルを割り込むと、先々週辺りにレジスタンスだった200日移動平均線に64,000ドルでサポートされた。
週次のファンドフローが12億ドルと10か月ぶりの高水準となったこと、台湾で機関投資家向けに米国等のBTC ETF販売が認められたことなどもプラスに働いたか。
しかし、イスラエルの特殊部隊がレバノン国内に侵入、本格的な地上戦の準備を始めたとの報を受けリスクオフ気味に64,000ドルを割り込んだ。
その後は63,000ドル台で下げ渋っていたが、パウエル議長が講演で利下げは急いでいないと従来のコメントを繰り返すと、アトランタ連銀のボスティック総裁が11月FOMCで0.5％利下げの可能性を示唆した直後だっただけに市場は議長の発言をタカ派に受け止め、BTCは一時62,000ドルに値を下げた。
その後切り返すも、朝方、イスラエル軍が地上侵攻を開始したとの報で再び62,000ドル台に失速したが、ドル買い円安を受けた日本株の反発を受けて、63,000ドル台に値を戻している。