著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・56,000ドル台まで下落
・レンジの下限かつ年初来の反値押しの最終防衛線に差し掛かる
・Mt.GOXがテスト送信開始、独当局も売却継続
・経済指標は悪化気味、雇用統計次第では反発も
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は続落。
未明から60,000ドル(約965万円)近辺で下げ渋っていたが、朝方クリアに下抜けると、58,000ドル(約930万円)台半ばの6月24日の安値も下抜け、5月1日の安値となる56,000ドル(約900万円)台で何とか下げ止まった。
BTCは先週のTV討論会を受けた「もしトラ」ディールで63,000ドル(約1015万円)台後半まで値を伸ばしたが、以前のサポートだった64,000ドルに跳ね返されると、62,000ドル半ばをネックラインとする小さなヘッドアンドショルダーを形成し、60,000ドルを割り込んだ。
水曜日はADP民間雇用統計や週次の失業保険申請件数など雇用関連が弱く、ISM非製造業景況感指数も弱めとなり、BTCは一時的に60,000ドルを回復するが、俄かにバイデン大統領が選挙戦から撤退するとの報が出回った結果、独立記念日を前に「もしトラ」ディールのアンワインドの動きも出回り、BTCは60,000ドルをクリアに割り込んだ。
アジア時間に入るとMt.GOXによる売り圧力も意識され始めたせいかBTCは58,000ドル割れに急落、6月24日付けた安値や200日移動平均線を割り込んだ。
午後に入るとMt.GOXが交換所向けに少額のテスト送金を開始、欧州時間に入るとドイツ当局も1300BTCを交換所に送金するなど売り圧力が意識され、BTCは57,000ドルを一時割り込んだ。
この56,000ドル台はレンジの下限となる5月1日の安値かつ今年の上昇の半値押しとなる重要なサポートで、一旦は58,000ドル台後半に反発したが、今朝方、Mt.GOXが47,000BTCを移動、再び56,000ドル台に値を下げている。