著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト

東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。

ポイント

・年末は利食い先行、年始はETF巡る思惑で乱高下

・ノボグラッツ氏のXで急騰、ウー・ジハン氏のマトリックスポートのレポートで急落

・1月10日の承認期限が近づき市場は神経質に

・政治的にETFの否認は無さそうで、SECの動きを見る限り先送りの可能性も低そう

年末年始のBTC相場

BTC相場は2023年末にかけて上値の重い展開が続いたが、2024年に入ると急騰、急落を繰り返し、荒っぽい展開で始まった。

値動き的には、クリスマス前に44,000ドル(約630万円)台で上値を押さえられると、年末にかけて41,000ドル(約585万円)台までじりじりと値を下げた。

ところが1月2日の未明に上昇を始めると、45,000ドル(約645万円)台に急上昇、昨年の高値を更新したが、その後、急落、一時41,000ドルを割り込み、足元では42,000ドル(約600万円)台で推移している。

BTC現物ETF実現に向けてブラックロックなど申請各社とSECとの協議が大詰めを迎える中、FOXなどがSECが各社に対し12月29日までに最終申請を提出するように求めたと報じ、1月上旬の承認を示唆するとしてBTCは44,000ドルに上値を押さえられた。

クリスマス後は年末にかけてグレースケールの会長辞任やマイナーの売り観測などもありじりじりと値を下げると、CME先物の12月限の最終取引時限にかけて失速、クローズにかけて41,000ドル台前半まで値を下げた。

年末年始の休暇中は42,000ドルを挟んで一進一退を続けていたが、日本時間の2日未明、Galaxy DigitalのノボクラッツCEOがXで「大きな出来事がやってくる」とポスト、ETF承認が近いことの示唆と解釈されBTCはCME先物開始に先立ち上昇を始めた。先物も大きく窓を開けてオープンすると、昨年の高値を更新し45,000ドル台に急騰した。

しかし、ウー・ジハン氏が立ち上げたマトリックスポート社がSECはETFを承認しないとのレポートを出すとBTCは急落、一時41,000ドルを割り込んだ。

その後、ブルームバーグのETFアナリスト・バルチュナス氏が記事を書いたマーカス氏にX上で真意を尋ねた結果、特に裏が取れている話でなく単なる個人的な観測だと判明、ジハン氏も自分はそうは思わないと釈明すると、BTCは43,000ドル台に反発した。

しかし、その後公表された12月のFOMC議事録が議長会見ほどハト派でなかったこともあり42,000ドル台での推移となっている。

本日のBTC相場

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