著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・27,000ドル割れ
・PPIは強めだが、ウォーラー理事のトーンダウンで11月利上げ見送りが9割超え
・WSJのハマスの資金源が暗号資産との報道を嫌気
・本日のCPIはよほど強い数字にならない限り、利上げ打ち止め・リスクオン方向か
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は下落。
27,000ドル台(約400万円)半ばのもみ合い圏から失速すると、アジア時間は27,000ドルでサポートされたが、海外時間に入ると26,000ドル(約385万円)台半ばまで値を下げた。
火曜日にイスラエル政府の要請でバイナンスがハマスの暗号資産口座を凍結したと報じられるとBTCはやや値を下げたが、戦闘の影響による長期金利低下やFRB高官のハト派発言などもあり下げ渋っていた。
するとビットスタンプがカナダからの撤退を表明、またブラジルの議会委員会がバイナンスのCZ氏などを十分な許可を得ずに暗号資産取引を提供したことなどの金融犯罪で起訴することを勧告したことなども嫌気して、BTCは上値を重くするともみ合い圏を割り込み失速した。
その後、27,000ドル近辺で一旦下げ止まると、JPモルガンがブラックロックやバークレーズとブロックチェーンベースで担保決済を行ったとの報もありやや値を戻す局面も見られたが、続いて発表されたPPI(卸売物価指数)が強めの内容だったことで上値を押さえられた。
するとWSJがハマスが戦費を暗号資産で調達していたと報じたことが嫌気されBTCは27,000ドルを割り込んだ。
一方、タカ派と目されるウォラー理事が長期金利が上昇する中、FRBは様子を見ることが出来ると利上げ据え置きを示唆、またFOMC議事録でもFRBは慎重に進めることが出来るとされたことで11月FOMCでの利上げ織り込みは1割を切った。
市場もリスクオン気味に推移する中、BTCは9月の安値24,900ドルと今月の高値28,600ドルの半値押し近辺でサポートされている。