著者 松田康生（まつだやすお）楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・若干レンジを切り下げ29,000ドルを挟んでのもみ合いへ
・雇用統計はMIX、平均時給よりNFPに反応
・大手交換所の不振やテザー売りを巡るツイート出回る
・一目均衡表の雲にクリアに突入、しばらくは雲の中での推移が続きそう
週末及び昨日のBTC相場
週末及び昨日のBTC相場は29,000ドルを挟んでのもみ合い推移。
もみ合いレンジを29,000ドル～29,500ドルから29,000ドル（約415万円）を挟んで上下300ドル程度と若干切り下げている。
BTCは、6月からのサポートがレジスタンスとなった29,500ドルと一目均衡表の雲の上限29,000ドルに挟まれた狭いレンジから、8月に入り上下にブレークしたものの、雇用統計を前に元のレンジに戻していた。
注目の雇用統計は、失業率は3.5％と予想3.6％を下回り、平均時給は前年比4.4％（前月比0.4％）と予想4.2％（同0.3％）を上回ったが、非農業部門雇用者数（NFP）が18.7万と予想20万人を若干下回り、前月も20.9万人から18.3万人に下方修正されたことから、米2年債金利が低下、BTCは若干強含んだが、29,300ドル近辺で上値を重くすると、ドル円が弱含む中、円建てのBTC価格は下落に転じた。
更に、市場の注目がインフレ動向から景気動向に移りつつある中、NFPの低下を嫌気して米株が失速すると、BTCは29,000ドルを割り込んだ。
加えて、インフルエンサーが中国当局が賭博サイトにサービスを提供したとして大手オフショア交換所の幹部を捜査しているとツイート、更に別のインフルエンサーがHuobiの経営不振がテザー売りに繋がっているツイートし、相場の重石となった。
その後、ジャスティン・サン氏やHuobiがこうした噂を否定、一時値を下げていたテザーも切り返したことでこうした不安は一旦落ち着いている。
週明けはそのテザーの切り返しも影響してか、BTCは一時28,700ドル近辺まで値を下げたが、NY連銀のウィリアムズ総裁が来年の利下げの可能性を示唆したこともあり米株が反発する中、BTCも29,300ドル近辺に値を戻すなど、29,000ドルを挟んでのもみ合い推移が続いている。