著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・30,000ドルトライ
・雇用統計はやや強め、5月利上げ織り込み上昇も、BTCは売られず
・イースター休暇明けの米株が上昇
・CME先物では30,000ドルワンタッチ、現物価格も30,000ドルトライ中
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は大きく上昇。
週末は28,000ドル(約370万円)近辺での小動きに終始したが、昨日早朝から上昇を始めると、29,000ドル(約385万円)を上抜け、30,000ドル(約400万円)を窺っている。
金曜日の雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が予想23万人に対し23.6万人、失業率が予想3.6%に対し3.5%とほぼ予想通りながら僅かに強い内容だった。
但し、ISM非製造業やADP、失業保険申請件数など事前に弱めの数字が続いた反動もあり、米長期金利は上昇、5分5分だった5月FOMCでの利上げ織り込みも7割に上昇した。
しかし、イースター前のグッドフライデイの休日で欧米ともに市場が休場となり、投資家不在の中、BTCは動意薄で、週末も28,000ドル近辺で小動きに終始した。
週明けのCME先物開始を前にBTCはやや強含んだが、その後は欧州市場が休日だったこともあり窓埋め気味にやや値を下げた。
その後、植田日銀新総裁が就任記者会見でYCC見直しに慎重な姿勢を見せると円安が進み、円建てのBTC価格は上昇。
米長期金利の上昇を嫌気して軟調に始まった米株市場が木曜日対比でプラス圏に上昇するとBTCは29,000ドルをブレークした。
その後、3月30日に付けたドル建ての年初来高値付近で上値を抑えられたが、米株が引けにかけて一段高になったことや、ウィンクルボス兄弟が外部からの資金調達に苦戦していたGeminiを支援、個人資産から1億ドルを融資する見込みとBloombergが報じたこともありBTCは年初来高値を更新、CME先物で30,000ドルにワンタッチ、現物市場も同水準を窺う展開となっている。