エンタープライズブロックチェーン「コルダ」を開発しているR3社内で管理職とエンジニアとの間で深刻な対立が生じているという。仮想通貨メディアのザ・ブロックが21日、R3内の情報をもとに詳細なレポートを掲載した。
管理職 対 エンジニア
R3内の複数の匿名の関係者は、コルダを開発するエンジニアと上級管理職との間に対立が発生していると主張している。この対立によって、コルダの開発にも遅れが発生しているという。
対立の1つの理由はエンジニアサイドの不満だ。エンジニア側はコルダの機能自体が不十分であり、拡張性がないと捉えており、技術自体への信頼が失われている状況だという。
またR3ではクラウドサービスに対する支払いが急増しており、プラットフォームの長期的な実効性に影を落しているそうだ。
ほかの情報筋は、エンジニアの文化的な面についても指摘する。才気活発なブロックチェーンエンジニアは、既存のシステムをメンテすることに嫌気がさしてR3を辞めてしまうというものだ。また伝統的な金融業界出身者と、才能はあるが頑固なブロックチェーンエンジニアとの文化摩擦もあるとのことだ。
またR3自体のアイデンティを巡る対立を指摘する声もあった。より広範な技術コンソーシアムを目指すのか、それとも金融ソフトウェア企業で居続けるのかどうかというものだ。R3が手掛けているブロックチェーン「コルダ」自体についても、どのような方向へ進んでいくのかという野心や明確性が欠如しているとの声もあったという。
コルダについてのビジョンが定まらないことから、コルダ至上主義者と、相互運用性を重視するグループとの間で対立が生まれているという。
ザ・ブロックの記事によれば、このような対立によって、コルダの最新バージョン「コルダ 4」の開発に遅れが生じたという。またエンジニアの10%が1ヶ月の間に「流出」したとも指摘している。
2020年に新オフィス
このような混乱が報じられたR3だが、事業の拡大には積極的に動いている。
8月1日にはロンドンのオフィスを2倍に拡大すると発表し、2019年末までに新たに85人の人材を採用するとしている。
さらに8月14日には2020年に新しいオフィスをアイルランドのダブリンに開設すると発表した。ロンドンのチームとの間で緊密に連携するエンジニアチームを置くことになるという。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版