米国の検察当局と内国歳入庁(IRS)の捜査官が、プエルトリコの税制優遇措置を不適切に利用している疑いのある裕福な仮想通貨トレーダーやファンドマネージャーを調査している。
ブルームバーグの7月12日の報道によれば、捜査官たちは現在、ヘッジファンドマネージャーや仮想通貨トレーダー、米国人富裕層に対して、彼らが居住地や収入の要素について虚偽の申告をし、税制優遇措置を不適切に利用した疑いがあるとして民事訴訟と刑事訴訟を準備している。
当局者は、プエルトリコの税制プログラムを宣伝している弁護士や会計士についても調査しており、少なくとも2件の捜査が近いうちに起訴されるという。検察官たちは共謀罪や電信詐欺罪の疑いもあるとみて捜査している。
米検察当局と協議したカルロス・オルティス弁護士によれば、検察官たちは内国歳入庁(IRS)のエージェントやプエルトリコの役人とも協力して調査を進めているという。「メッセージは、綱が締まっているということだ」と言う。
プエルトリコが2012年に新たな税制を導入して以来、5000人以上の米国人が同国に移住している。プエルトリコ移住の利点の1つには連邦所得税の節税がある。
プエルトリコの税制は、個人に対して配当金の100%免税、市町村税の60%免税、および地域内で得た源泉所得に対する連邦税の免税を認めている。
さらに、3600以上の企業が配当金からの利益や利益に対する税金の支払いを回避し、輸出に対する税金は4%だけ支払うだけで済ませている。
この税制優遇措置は世界で最も緩やかなものの1つであるが、それを利用するための要件はかなり厳格だ。
税制優遇措置を受ける資格を得るためには、新たな住民は年間少なくとも183日間は島に住んでいること、そして島が自分の「税務上の居住地」であることを証明する必要がある。
これら厳格なルールは、多くの個人に数値の偽装や申告の不正を誘発していると、この制度に詳しい弁護士たちは指摘している。
税金を理由でプエルトリコに移住した著名な住民には、仮想通貨批判派として有名なピーター・シフ氏や仮想通貨投資家のマイケル・テルピン氏がいる。7月4日、プエルトリコの規制当局はシフ氏の銀行が最低資本要件を満たしていないとして閉鎖した。
5月19日のマイアミ年次ビットコインカンファレンスで講演したテルピン氏は、プエルトリコを「米国市民権を放棄せずに税金を払わなくてもいい唯一の場所」と称賛した。
テルピン氏は厳格な税制についてあまり気にしていないようだった。
「全員が監査を受けると言われていますが、それは大丈夫だ。私は非常に正確なメモを取っており、それらを税務専門の弁護士と公認会計士にチェックさせているし、会計係も2人いる。だから、どんな監査でも大丈夫だ」
島の裕福な住民たちは、ファンドマネージャーや起業家を島に呼び寄せるための税制優遇措置を称賛しているが、プエルトリコの現地の人々の中にはこういった金持ちたちの流入にうんざりしている人々もいる。現地ではこういった移住者が生活費を高騰させていると抗議するデモが行われている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン