ピーター・トッド氏が語る、BitGo社のマルチシグネチャに関する特許申請、MITのファンディングコアディベロップメント、そしてそのイノベーションについて

ピーター・トッド氏が、BitGoの特許問題について言及したことをきっかけに炎上し、インターネット上で仮想通貨空間における特許の役割とイノベーションについて論争が巻き起こった。コインテレグラフ社はトッド氏にコンタクトを取り、件の中央集権型のブロックチェーンや、ビットコインの肝である開発資金などについて質問した。

 

 

コインテレグラフ社: このツイートと、BitGoの特許問題についてお伺いできますか?

 

ピーター・トッド氏: BitGo社は”特許出願中”などといって、クライアントや投資家たちを募っていたのは知られていますが、実際にはマルチシグネチャの特許の申請などしていなかったのです。Reddit上でその話題が持ち上がったとき、彼らは防衛目的だった、などと主張していました。しかし問題なのは、あらかじめ彼らがそのことについて何も言及していなかったことです。

 

私を含め多くの職場の人間が、単純に特許申請をあきらめ、次に進むことが最善だと考えています。

 

 また、彼らが自衛目的で特許申請をした、というのも問題です。法的にも効力のない言い訳です。例えば、もしBitGo社が破産した場合、特許が悪い人間の手に渡り、他の会社への対抗手段として使われてしまう、ということは簡単にできてしまうでしょう。それによりビットコインにおけるイノベーションの流れに終止符を打ってしまう可能性もありますし、どの企業であれ、特許を手に入れた時点で、競合できない大きなアドバンテージを手に入れてしまうことになります。

 そのためにも、より優れた法整備をする必要がありますが、ビットコインに関してはまだ存在していません。私を含め多くの職場の人間が、単純に特許申請はせずに、次に進むことが最善だと考えています。

 

CT(コインテレグラフ社): では、彼らは秘密裏に行っていたということですか?

 

PT(ピーター氏) : ええ、その通りです。彼らが特許を申請するつもりなどなかったという事実は、サービスと技術の向上をうたって、マーケティングを行っていた際に判明したわけです。しかしながら実際には特許自体はやっと最近になって公開されたのです。彼らはこの”攻 対 防”の構造を意図して作っていた―彼らの言葉を借りれば、誰か他の特許取得者から自分のみを守るか、自分の技術を他の誰にも使わせないか、のどちらかしかない、とこういうわけです。

 以前は、一度も公にしようとはしなかったわけですから、今彼らが別の主張をしていたとしても、実際の意図はわかりません。もしかしたら、”攻”として、攻めの姿勢で特許を取得し、排他的に独占しようとしている、とも考えられます。

 

“新しいソフトウェア開発のために、本当に特許が必要だったのかどうか、根拠は全くありません。”

 

CT: 所謂、パテント・トロールではないのですか?

 

PT: それは、該当製品を持ってない企業に対して使う言葉でしょう。BitGo社にはきちんと製品はあるのです。とはいうものの、一般的にはソフトウェア関連の特許を取ろう、というアイデアについては否定的な人が多いのです。個人的には、私はその必要性に対する論拠は薄いと考えています。特許申請自体は簡単にできますし、優れたソフトウェアはたくさん生み出されています。にもかかわらず、何故アイデアを独占することが許されているのでしょうか?

 

 

CT: 特許はイノベーションの妨げになると思いますか?

 

PT: ええ、間違いなく。最早それはかなり常識的な考えだと思います。少し言いすぎかもしれませんが、ハードウェアに関する特許でさえ、独占的になりがちですし、意味はないと思います。

私は、かつて技術担当で、電子機器の設計をしていました。アイデアが浮かんだら既に特許が取られていないか調べるというのは当たり前でしたし、きちんと確認を取り、開発をしていました。エンジニアリングの学位を持っていない若者でさえ特許を思いつくことはできます。はっきりいって、特許など必要ないのです。

 

 マサチューセッツ工科大学は基礎研究の見直しをしています、ビットコインの分野においては絶対的に必要だと私たちは考えています。

 

 

 CT:マサチューセッツ工科大学が、ビットコイン開発に関わる責任者3人を引き抜いたことに関してはどうお考えですか?

 

PT: 心配はあまりしていません。大学に、誰を雇うべきか、そしてその理由も教えてくれ、と頼まれましたし・・・まぁ、ウラジミルとコリーにはプロジェクトをきちんと崩さずに最後まで、継続してやりとげてくれれば、とは思います。

 問題は、誰が必要か、ということです。ほとんど中央集権型のようなものなので、すべてが万事うまくいく、というわけにはいきませんし。ウラジミルはその点うまくやった、とは思います。彼は政治的に中立を貫いていましたし、他の人間にもきちんと議論に参加させていました。マサチューセッツ工科大学は基礎研究の見直しをしています、ビットコインにおいては絶対的に必要だと私たちは考えています。

率直に言って、現在ビットコインの根幹に関わるスケーラブルな新しい研究というものは非常に少ないです。そもそもビットコイン自体の価値がまだどのくらいのものか、ということもわかりませんから。

 

“ブロックチェーンを安価に承認できなかたり、分散できなかったりすると、仮説ですが、ビットコインは停止してしまうでしょう。“

 

CT:ガビン氏による、ブロックサイズ制限を20MBまで引き上げるという話についてはいかがですか?

 

PT時期尚早だと思います。多くの人がそう考えているでしょう。

 

CT:もし、引き上げるとしたら、更なるリサーチが必要になるのでしょうか?

 

PT当然です。重要な取引ですから。現在のビットコインプロトコルによるアーキテクチャにおいていえば、スケールアップしてしまうと、セキュリティが低下してしまいます。ブロックチェーンを安価に承認できなかたり、分散できなかったりすると、仮説ですが、ビットコインは停止してしまうでしょう。別のより良いアーキテクチャを探さなくてはなりません。Reddit上では、ブロックサイズ制限の引き上げこそが解決策だ、とばかばかしいですがそう言われています。

 20MBにブロックサイズの制限を引き上げたとします。ビットコインによる取引の要求は、40倍から100倍くらいまでふくれあがることでしょう。―ビットコインの規模は未だ驚くほど小さいのです。―既に我々にはガビンのこの20MBの案は失敗するのがわかっています。ちょっとした算数の計算ミスです。おそらく6MB程度しか生成できないはずです。私の記憶が正しければ、ですが。

つまり取引の要求が100倍に膨れあがったとしても(簡単に起こってしまうのですが)、そこからさらにブロック数を増やすことは不可能なのです。6MBがせいぜいです。20MBなどというのは、楽観的な憶測に基づいて大げさに言っているだけに過ぎません。分散型のシステムを採用している以上、100MBや、GBのブロックの実現など夢のまた夢です。

 

 分散型のシステムは、中央集権型のそれとは競合できない。

 

CT:ノードをフル稼働させた場合ものすごいダウンロード数になりそうですよね。

 

PTええ、皆ビットコインが他のシステムと違うところは、分散型である、という部分だけだということを忘れてしまっています。PayPalのような企業にとっては、ビットコインのソースコードをコピーして確実に稼働するマイニングシステムをでっちあげてしまうことなどささいなことでしょう。あなただって同じようにできますよ、ただ誰か信頼のおける責任者がいないといけないというのが条件ですが。

今、政府レベルの重大なプロジェクトを実は抱えています。私自身も参加します。来る時は確実にやってきますし、何がビットコインをビットコインたらしめているのか、ということをきちんと理解し、中央集権型のシステムには対抗できないのですから、分散型の強みというのを生かしていくべきです。

つまるところ、未来などは予測できないのですから、その場しのぎの付け焼き刃ではなく、よりよい改善策を常に見つけていく必要があります。

 

CT:Eris Industriesのような、大手銀行にブロックチェーンテクノロジーを提供している企業についてはどう思いますか?もっと大きく分散したグローバルなビットコインネットワークと競合していくための妨げにならないでしょうか?

 

PT問題はそういうことではありません。Eris社のようなシステムの場合、セキュリティが強固かどうかは、信頼できる人間がいるかどうかです。今もしあなたがシステム管理担当になって、5つもの異なる銀行大陸を手に入れたとしましょう、5つのうち3つのブロックは署名が必要なシステムだったとします、この場合かなり強固なセキュリティとなります。しかし政府のエージェントや、銀行などによってあなたの資産が凍結させられてしまったらそれでおしまいです。

 

銀行は、必要に応じてシステムを変更することができない

 

しかしながら、裏を返せば、銀行というのは必要に応じてシステムを変更することができることができない融通の利かない機関だ、とコンサルタントとしての経験からも、言うことができます。私も銀行、あなたも銀行。そして私たちはお互いのアカウントを開設するためにブロックチェーンというシステムを使う―ブロックチェーンに裏打ちされた、信頼のできるシステムを手に入れたいと思うかもしれません。―なぜなら、ビットコインは中立的な存在だからです。しかし、まだ制御下に置かれたシステムである、ということには変わりはありませんから、あらかじめセットアップしておく必要があります。そしてあなたがビットコインを使えている、ということはきちんとそういったルールが守られている、ということなのです。

 

CT: では、ビットコイン・ブロックチェーンは本質的には手形交換所のようなものということですか?

 

PTそういうことです。政治的に中立なシステムをもったとしても、―国によるレギュレーションから解放され、信頼できるソースを得れば―プルーフ・オブ・ワークのシステムは実際的にかなり有用です。

 

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