4月18日にビットコインの価格が52000ドルを割り込んだことで、ビットコイン(BTC)の資金調達率(ファンディングレート)が2020年9月以来の水準まで落ち込んだ。クオンツトレーダーでアナリストのレックス・モスコヴィスキ氏は、市場に恐怖が戻ってきたことを指摘した。
仮想通貨データプロバイダーのグラスノードによると、全取引所のビットコイン先物の資金調達率は、18日に約-0.03%という低い値まで落ち込んだことを示した。
資金調達率の低下は何が問題?
ビットコイン先物を扱う取引所は、市場のバランスを取るために「ファンディングレート」と呼ばれるメカニズムを採用している。市場にロングや買い手が多ければファンディング・レートは上昇し、ショートが多ければ低下するというものだ。
そのため、ファンディングレートがマイナスになると、市場参加者の多くがビットコインを空売りしていることを意味し、市場に恐怖感があることがわかる。
モスコフスキーは「こんなにファンディングレートがマイナスになったのは久しぶりだな。恐怖だ。」とツイッターで市場が冷え込んだことを指摘した。

先週には、ビットコインはコインベースの上場を控え、64,000ドル前後で推移していた。しかし4月18日は、50000ドルという低水準まで落ち込んだ。高値から安値まで、ビットコインの価格は米ドル建で約15%下落したことになる。
市場のセンチメントがこれほど急激に変化するのは、多くのトレーダーが取引所で高いレバレッジを使用しているからだ。
コインベースが上場した際には、バイナンスやバイビットなどの一流の先物取引所で、資金調達率は0.1%から0.15%と高騰していた。これは、多くのトレーダーが積極的にロングしていたことを示しており、先物市場は過熱していた。
こうした状況では、ビットコインを大量に空売りするインセンティブが高まることで急落するということだ。

ビットコインは回復するのか?
ビットコインのハッシュレートが急激に低下したことが、価格下落につながったという指摘が出ている。
4月16日に中国の新疆ウイグル自治区で停電が発生し、中国の主要なマイニングプールが停止した。その結果としてビットコインのハッシュレートは急速に低下し、BTCを取り巻く市場心理に支障をきたすのではないかと懸念された。
しかし、シネーンハイム・ベンチャーズのパートナーであるアダム・コチラン氏は、ビットコインのハッシュレートの落ち込みは価格下落の原因ではないと指摘している。
「中国で発生した停電がBTC価格の下落につながったというのは、上記の相関グラフからわかるようにナンセンスだ。計算してみると相関関係はない」
今回のビットコイン価格の下落がファンダメンタルズ要因ではなく、先物市場の過密化による純粋なテクニカル要因であったとすれば、速やかに回復する可能性が高い。
短期的には、先物市場が落ち着きを取り戻し、資金調達率が安定することで、ビットコインは56,000ドルのサポートエリア付近で推移するだろう。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン