ある大手の仮想通貨取引所が世界的なデータ危機を訴え、個人情報の全面的な管理をユーザーに与えることを意図したデジタル協同組合を立ち上げる。

 取引所コインベネは「インターネットオブピープル(IoP)」の上場を発表した。IoPはユーザーが個人情報を完全に管理しながら、政府や大企業の検閲・妨害のない状態で「新世代のDApps」を構築することを意図したデジタル協同組合コミュニティである。

 IoPのプロトコルや「人間第一」の原則は、大企業が必要なレベルをはるかに超えたデータを取り込み、データ侵害が日常的に起きている世界では非常に重要だという。インターネットの現状を非難し、オンラインの世界が「人をつなぐ」というウェブの当初の目標に反していると主張するIoPは、これまでのところ仮想通貨は解決どころか、問題を悪化させていると語る。さらに、ICOの資金調達モデルは「仮想通貨の礎となる価値観を踏みにじっている」という。

「仮想通貨以上」の存在

 コインベネはIoPを仮想通貨以上の存在と位置付け、仲介者や検閲、妨害なしにピアツーピアの運営を可能にすると述べている。「Mercury」と呼ばれる新たな通信プロトコルの最初のバージョンがリリースされたばかりだ。IoPのプロトコルを使用するDAppsは本質的に秘匿性や安全性が高く、同時に集中型の企業からもたらされるサービスもすべて提供することができるという。

 IoPは、Mercuryの大きな違いの1つはデータの処理方法にあると強調する。DAppsのオーナーは、商品やサービスを提供するのに欠かせない情報のみを受け取る。可能な限り、IoPユーザーの個人データはデバイスから出ることはなく、そのような場合は高いレベルで暗号化される。

 自らを分散型デジタル協同組合(DDC)と称するIoPは、すでに40程度の国に会員がいると述べている。仮想通貨は「当社のプロジェクトの価値を積極的に支援してくれる人々が保有して」いるため、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)を実施する必要はないという。

 IoPはノードの分散型ネットワークから構成され、誰でも自分のネットワークを設定・稼働させることができるという。コミュニティにはIOPコインで報酬が支払われるが、その概念には、マイニングにしばしばつきもののエネルギーの大量消費を削減できる可能性があるとIoPは考えている。

 コインベネはIoPの上場は喜ぶべきことで、その立ち上げは、顧客にできる限り多くのデジタル資産を届けるという取引所の探求活動の一助になると述べている。

ユーザーにとっての意味

 近い将来、IoPは分散型アプリでのMercuryの使用をできるだけシンプルにし、Google PlayやアップルのApp Storeなどの主流派の集中型アプリと同程度にすることを目指している。ユーザーに提供されるプライバシーのレベルに主な違いが生まれることになる。

 IoPのインフラではユーザーがスパイ行為を受けることはなく、サーバーのおかげで、ユーザーは異なる目的で特定のプロフィールを作成できるという。例えば、仕事用に1つのプロフィールを作成し、オンラインデートのために別のプロフィールを作成できることになる。ピアツーピアというネットワークの性質により、政府がデータをブロックしたり、検閲を行ったり、さらにはアクセスすらできなくなる、とプラットフォームは自信を見せている。

 IoPは、人々が実際に必要としているテクノロジーを創造し、仮想通貨の仕組みや恩恵が理解できるような情報を提供しながら、仮想通貨を大衆に届けたいと語る。また、世界各地の有名大学との協力も進んでいるという。将来的にはあらゆる現代的領域に仮想通貨が関わってくると考え、大学ではカリキュラムにIoPを統合したり、仮想通貨を追加している。

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