英オックスフォード大学の教授グループが、EUで世界初の 「ブロックチェーン大学」を作り、全学位を付与できる力を手に入れようとしている。

 オックスフォード大学哲学科ジョシュア・ブロッギ氏が率いる学者チームが「ウルフ(Woolf)」というサイトを立ち上げた。彼らによると、ブロックチェーン技術とスマートコントラクトが高等教育の伝統的構造の民主化に役立つとのことだ。

 提案されている「ブロックチェーン大学」は、学生がオンラインまたはオフラインで利用できる個別のチュートリアルを中心とするモジュールに力を注ぐことで、伝統的なオックスブリッジ流のコースとカレッジの構造を採用する。プロジェクトの設計は、「地理的要因にとらわれず」、地域または国の結びつきよりも「ボーダレス」な学術コミュニティを優先させるという。

 ウルフのホワイトペーパーでは、ブロックチェーン技術に支えられた大学が、学生が支払う非常に高額な授業料、煩雑なお役所仕事や管理コスト、不安定で薄給の大学教員などを含め、現在世界中の大学に影響を与えている問題の多くに対処できるとしている。

 ホワイトペーパーでは、スマートコントラクトを使った学生の出席、成績、学術論文提出などの管理の自動化に加え、ブックチェーンの不変性が学生による学歴偽造を防ぐために機能すると説明している。

 ブロッギ博士がコインテレグラフに対して、ウルフは現在、EUで全学位を付与できるようにしていると語った。既に「ヨーロッパの2つの管轄区域での認可取得の目途がついている」とし、次のように述べている。

「私たちは、コンプライアンスを順守し、高度なデータセキュリティを提供するためにブロックチェーンを使用している。規制当局もヨーロッパで認可を受けたグローバルな教育活動の提供が可能だと確信している。従って〔インドの〕マドラスのウルフの学生は、ニューヨークの教師から学び、EUの学位を取得できる」。

 ウルフの最初のカレッジ、アンブローズは18年秋の立ち上げに向け準備を進めている。授業料は、チュートリアルごとに 400ドル、もしくは1年あたり1万9200ドルと設定されている

 ウルフのチームは、彼らのプロジェクトを学生のための 「学位コースのエアビーエヌビー」、そしてチューターにとっての「分散型、非営利、民主的コミュニティ」と位置付ける。 ブロックチェーンが、フルコースの課程を完了するために必要な契約上の安定性を提供する重要な技術であることを強調している。

 ネイティブで、全て事前採掘された ERC20準拠のWOOLFトークンは、教員報酬、大学の予算、プロジェクト開発、およびプラットフォームガバナンスに対する投票を含む機能に使用される。

 ブロックチェーンは、高等教育の構造自体を変えるには至っていないが、その教育内容には既に大きなインパクトを与えている。多くの一流大学がブロックチェーン、スマートコントラクトおよび仮想通貨関連のコースを提供している。ケンブリッジ大学などは、仮想通貨ファイナンスの分野で多くの研究を行っており、スイスのルツェルン大学などは授業料のビットコイン支払いをも受け付けている