2022年は、セキュリティやオーナーシップの大切さが浮き彫りとなった年だった。2023年は、何がトレンドになるだろうか?仮想通貨業界はさらなる進化のために2022年の教訓を生かすことになるだろう。
セルフカストディとDeFiの躍進
今日のWeb3への入り口は、DeFi(分散型金融)ではなくCeFi(中央集権型金融)であるのが一般的だ。ユーザーにとってWeb2系のアプリが馴染みがあることが理由だろう。しかし2022年後半に起きた相次ぐカストディアンの崩壊により、セルフカストディとDeFiに追い風が吹いている。デジタル資産プロバイダーのKaikoは、FTX崩壊によって「CeFiとDeFiの違いがさらにはっきりし始めた」と述べた。
セルフカストディは、自分の資産を他人に管理させるのではなく、自分のウォレットを使って自分で資産管理を行うことを意味する。Web3の中核とも言える概念であり、2023年はその重要性がますます評価されるだろう。
NewsWireによると、DeFi市場は年間42.8%のペースで拡大し、2028年に1250億ドル規模に到達する見込みだ。
NFTはさらにビジネス活用進む
2022年、多くの一流ブランドがNFT市場に参入した。ディズニーは、未来の没入体験を構築する上でNFTとARを使うと発表し、スターバックスは、一部の米国ユーザーに対して、Starbucks OdysseyというNFTを使ったWeb3のロイヤルティプログラムを開始した。トークンを使った新たなeコマースプラットフォームとして期待しているようだ。
実は上記はNFTフィーバーがひと段落した2022年に始まったものだ。NFTに対する底堅い需要を示すものであり、仮想通貨業界の中でもNFTはいち早く市場が回復するかもしれない。
大手ブランドによるNFT参入も続くだろう。新たなeコマース、CRM戦略、コミュニティ作り、ロイヤルティプログラムなど、NFTがビジネスにもたらす利点は多い。
2022年は、仮想通貨業界に激震が走った年だった。カストディアンの失敗、ハッキングの増加、弱気相場が重なり、一部の人々は仮想通貨の本質的な価値に疑問を持ち始めたかもしれない。しかし、2000年代のドットコムバブルがWeb2の台頭を妨げなかったように、現在の業界への不信がWeb3への大きな流れを止めることはないだろう。
デジタル革命は、短距離走ではなく、マラソンだ。
著者 Ledger
プロフィール:2014年に誕生した仮想通貨のハードウェアウォレットの会社。拠点はフランスにあり、現在はLedger Nano XとLedger Nano S+、Ledger Nano Sという3種類のハードウェアウォレットを製造・販売している。Ledger Nano S +は2022年4月4日発売の最新作。Ledger Nanoシリーズに接続して使うソフトウェアであるLedger Liveを、全ての仮想通貨サービスが1箇所に集まるプラットフォーム、いわば「Web3.0のハブ」にすることを目指している。公式サイト:https://www.ledger.com/ja