私見:ICOは実際どれほどの価値があるのか? by Crypto Asset Managementのマネージング・ディレクター、Timothy Enneking氏

ICOそして多くのアルトコインは、私の頭を悩ましていた。なぜそれほどの価値があり、時には数百万ドルにもなるのだろうか。

 

日本の多くの銀行はお金の動きに関する情報をXRP(リップルの通貨単位)を介してやり取りしている。だからといって、なぜXRPには50億ドルの価値があるのだろうか?それと同じく、仮想通貨の多くは機敏な取引を行うためにイーサリアムブロックチェーンを使用しているが、それだけでなぜイーサリアムは280億ドルの価値があるのだろうか?

 

話は少しそれるが、なぜ社会一般の株式はそれほど価値があるのであろうか?

理論上、それには三つの基本的な要因がある。それは、議決権、配当、株価値上がり時の益享受権である。これらは株式の価値を生む最たるものである。この3つの観点を詳しく見て、株式とトークンどちらが優れているか明らかにしてみよう。

 

投票権の行使

一体誰が実際にハイテク企業やその他の企業の株主総会で、自らあるいは代理人を立てて議決権を行使するだろうか。あるいは、あなたが実際にアドバンスト・マイクロ・デバイセズの株式を持っていたとして、株主総会に参加するであろうか。もし参加したとして、1万株や100万株でなにか影響力を発揮できるであろうか。

 

Google(より正確に言えばAlphabet)7億の株をすでに発行済みで、最も大きなシェアを持っている株主以外、株主総会とは関係ないと言っても過言ではない。もしも社内構造の一部を与えられたとしても、理論上、議決権普通株式は実質何の力も持たない。

 

それに加え、株主総会であれ、他の形態であれ、そのような場を設けることはコストがかかる。それも、年に100万ドル、もしくは数1000万ドルもだ。

そのため、トークンと比較したとき、株主の議決権は特段にアドバンテージがあるわけではない。

(少し話はそれるが、私はこれから、ICOとはいいつつも、企業がトークンとしてこっそり導入する資産についての話するつもりだ。そのほうが意味があると考えるからだ。)

 

実際には、その反対は起こり得える。もし、現代的なインターネットの決議システムを導入したいのであれば、それが企業であれ、公共機関であれ、一般の投票であれ、ブロックチェーンとトークンのほうはるかに優れた手段である。

まずはトークンの1勝。

 

配当

一体どんなテック系企業が、あるいはあらゆる企業(最も保守的な非テック企業を除いた)が、配当を支払うというのだろうか?暗号通貨業界の発展に先立って、何年もの間、この配当に関しての議論が行われている。

企業側の立場からすると、投資家たちがその企業を優良だと判断し、お金を投資しているのであれば、なぜ企業側が見返りに配当を渡して、再び投資をすることを促さなければいけないのであろうか?もし、投資家がお金が必要になったり、株の価格が下がると考えるのであれば、好きに株を売らせればいいではないかという考えである。

一方で、投資家の視点からすると、“ただどこに投資するべきなのか決めたかっただけであるのに、今では四半期ごとに判断をしなければならず、まるで休みがない“といった状況である。

 

したがって、配当は企業・投資家どちらの立場からしても、適切な仕組みではないと言える。

 

トークンの2勝目。

 

値上がりした時の益享受

 

株価の値上がり時の益享受は、投資家達が理解しているように、企業の価値が反映されたものである。ここでは、各企業がどのような特定の基準でその価値を算出されているかを説明するつもりはない。代わりに、エコシステムがどのように企業の価値に影響を与えているかを説明しようと思う。

 

最もわかりやすい例として、Alphabet社が挙げられる。同社は、世界で最も価値のある企業の一つであるが、それは内在的な要因(EBIDA、成長率、インターネット上での検索回数など)だけでなく、検索環境の健全性や相対的マーケットシェアによるものでもある。言い換えると、もしグーグルの検索環境でのシェアが急激に・着実に落ち始めると、内的要因が仮に成長し続けたとしても、グーグルの株価は落ちる、あるいは急落しさえするであろう。

この観点で、株式とトークンどっちのほうが優れているかは未だにはっきりとはしないが、エクイティに関する議論はすでに十分なされている。

 

以上の話がICOやトークンとどのような関係があるのかと思うかもしれない。私の答えはこうだ。「トークンはそれをリリースした企業が作り出したエコシステムの価値を反映している。」

 

こられ企業が創り出したエコシステムに高いバリュエーションが付くというのは、最もなことである。なぜなら、エコシステムは企業それ自体の価値を算出するのに使用されるあらゆる要素のを含んでいるからだ。

唯一欠けている要素は、株と同様に、トークンはその企業の価値を直接的に反映しているわけではないということだ。しかしながら、その企業自体に価値がない状況でも、トークンは、その企業自身を含むエコシステムの価値を完全に反映したものとなる。

 

この事実によって、株式とトークンには決定的な違いがあるとわかる。それは、トークンには株式にはない有用性があるということだ。

かつて、誰かアルファベット社の株式で、グーグルのアドワードに支払いをしたことがあるだろうか。いないだろう。

しかしながら、あなたは検索のためにPresearch(という名のトークン)で支払いを行うかもしれないし、Filecoinでストレージのために支払いをするかもしれない。コンテンツのためEngagement Tokenで支払いをするかもしれないし、BATであなたの興味をビジネス化するかもしれないし、さらには投票に対してVOTEで支払うかもしれない。(最後のアイディアは法的に問題があるかもしれないが…)

 

トークンによって上記のようなことができるのはもちろんだが、トークンを使うことは同時にこれらのことを行う唯一の手段である。一方で株式ではこういったことはできない。トークンはクリエーターとユーザー、開発者と顧客、購入者と販売側のシナジーを可能にし、新しいビジネスモデルを生み出した。しかも、よいクリエイティブでパワフルで直接的なビジネスモデルである。一言でいうと、disintermediation(中抜きという意味)だ。

 

したがって、株式にはない特徴を持ち、株式と比較してもそれほど重要な不利益がないという点から、トークンが偉大な価値を持っていることは明らかである。

私はこれが完全な答えではないと思うが、答えの一つではあると考えている。

 

ここにおいて私は2つの重要な問題に気付いた。

①いかにしてトークンに価値をつけるか

②トークンと株式を発行している企業に関して、何をすべきか


 

トークンの価値付

 

上述した”判断基準”に話を戻すが、それらは企業の価値を算出するための手法として過去数十年を経てよくできたものであった。revenue(収益)、margin(売上総利益)、EBITDAやその他の価値を算出するための手法を使えば、難しい数字のデータを得ることはできる。

しかし、それらのテクニックをトークンを評価するために適用することは(今のところ)できない。なぜなら、トークンに関しては未だに十分なデータがないということと、そのエコシステムが依然として進化しているところであるからだ。(私には適用できそうな基準がいくつか思い浮かんではいるが、その話はまた今度にしよう。)

 

 

株とトークン

株とトークンの両方を発行している企業についてはどうであろうか?(※注:私はこれらのトークンカンパニーの関係者ではない。)

株式はその企業の価値を表し、トークンはその企業が創り出したエコシステムの価値を表しているのであろうか?

 

株式はトークンのサブセット(一部、機能制限版)ではなかろうか?おそらくそうであろう。

私はまだ、株式とトークンのどこに線引きをすれば良いのかはっきりとはわかっていない。

それらの価値は非常に密接に結びついていて、「私の会社の株式は無価値だが、そのエコシステム(その会社自体を含む)全体の価値は、トークンに内包されている」と確信している、とあるCEOを私は知っている。彼は正しいのかもしれないが、私には確信が持てない。