米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は連邦議会の議員らに書簡を送り、仮想通貨に対する「常識的な」連邦規制の導入を推進し、米国の年金制度からデジタル資産を排除するよう求めた。

ジェームズ氏は4月10日に公開した14ページの書簡の中で、「投資家を保護し、金融市場を強化し、詐欺を防止するために、仮想通貨業界に対する連邦規制を強化する法整備を議会に求める」と述べた。

書簡では、業界が規制されないまま放置された場合に生じる6つの重大なリスクが挙げられている。ジェームズ氏は、適切な安全策がなければ、デジタル資産の「無制限な拡大」が米ドルの基軸通貨としての地位を損ない、犯罪行為を通じて国家安全保障を脅かし、「金融市場の安定性を損なう」と警鐘を鳴らした。

さらに、規制のない仮想通貨市場は「価格操作や不正に操作された市場」を招き、「勤勉な米国市民から数十億ドルを奪い、米国経済から資産と投資を流出させる」とも述べた。

ステーブルコイン発行者への規制強化

ジェームズ氏は、米国内に拠点を持ち、監督機関の規制下にあることをステーブルコイン発行者に義務づける法案を求めた。また、ステーブルコインの裏付け資産として米ドルまたは米国債を保持することも義務化すべきと提案している。

そのほか、資金洗浄対策を遵守する事業者とのみ取引することを義務づける規定や、発行者および仲介業者に対する登録要件、利益相反の防止策、価格透明性の向上、詐欺防止の義務化といった規制を導入する必要があると主張した。

「年金に仮想通貨を組み込むべきではない」

ニューヨーク州の最高法執行官として、ジェームズ氏は年金基金に仮想通貨を含めることへの懸念も表明している。

「デジタル資産は、極めて高い価格変動性を有しており、退職後の貯蓄にはまったく適していない」と述べ、仮想通貨には本質的な価値がないとまで言い切った。

「仮想通貨の価格は、真の価格発見によって形成されているわけではなく、本質的価値も存在しないため、その価値は予測不能である」

また、仮想通貨に連動する上場投資信託(ETF)への年金基金の投資にも反対の立場を示し、「株式や債券を裏付けとする従来型ETFとは異なり、仮想通貨ETFが保有する仮想通貨は、恒久的な盗難リスクにさらされている」と指摘した。

「議会が仮想通貨業界に関する法案を策定しようとする今こそ、この業界が米国の国家安全保障、金融安定、そして市民に与えるリスクを軽減するための措置を講じるべきである」とジェームズ氏は締めくくった。