三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は21日、決済処理速度2秒以下、毎秒100万件超の取引を可能とする新型ブロックチェーンを開発したと発表した。IoT 時代に対応した多様な決済手段を提供すべく、2019年度をめどに実用化する計画だ。
高速ネットワーク網と分散コンピューティング技術を持つアカマイ・テクロノジーズ(米マサチューセッツ州)と同ブロックチェーンを共同開発した。
ブロックチェーンの処理能力は、ブロックチェーン上のノード間の合意形成速度に依存する。開発したブロックチェーンでは、インターネット上で130カ国、3800カ所以上の拠点に配備したサーバ群によって構成される、アカマイのクラウド配信基盤にノードを配置し、ノード間の通信を高速化。また、独自のプログラムによりノード内のブロック生成、検証処理を高速・大容量化した。この処理性能は、機能拡張により毎秒1000万件以上に達する可能性もあるという。
クレジットカードの決済処理速度は毎秒10万件ほどであるため、開発したブロックチェーンを使えば、従来の10倍の速さで処理が可能となる。
日経新聞によると、IoT対応機器が増加するに従い、小口のキャッシュレス決済の需要が高まり、決済事業者は桁違いの情報処理を迫られることになる。MUFGはその需要を、処理能力を向上させたブロックチェーンで吸収したい考えだ。取引コストも現状の10分の1程度に圧縮できるとみられている。取引コストが低下すれば、クレジットカードの加盟店手数料も安くなる可能性があり、小規模な小売店も決済手段としてカードを採用する動きが促進されると期待されている。