仮想通貨(暗号資産)ビットコインの価格は、仮想通貨取引所ビットメックスで9900ドルをわずかに上回り、5月16日から48時間で9%上昇した。大幅な上昇にも関わらず、ビットコインは短期的にはロングスクイーズ(買いが多い時に価格を下落させることでストップロスを促し、さらに下落させること)のリスクに直面している。
ビットコイン価格の最近の上昇を受けて調整局面に入ることを示唆する3つの要因は、ショート(売り)よりもロング(買い)が圧倒的に多いこと、ファンディングレート(資金調達率)の増加、高値の切り下げ(Lower High)が3連続で形成された可能性がある、ことからだ。
ビットコインのロングがショートを上回る
ビットフィネックスやビットメックス、バイナンス先物ではトレーダーの77.51%がロングポジションを保有している。
この3つの先物取引所だけでも、合計で7億6300万ドル相当のロングが出されているのに対し、ショートはわずか2億2100万ドルのみだ。
(出典:Blockchain Whispers「ビットコインのロングとショート」)
ビットコインが大きなレジスタンスに直面することなく上昇している場合、ロングが多いということは楽観的な要因として考えられる。これは市場の多くが短期的にビットコインの価格が上昇すると予想していると考えていることを示している。
例えば5月の第1週の4日間で、ビットコイン価格が8500ドルから10085ドルに上昇したとき、市場の多くはロングを保持していた。
5月初旬と現在の価格動向の大きな違いは、9900ドルから1万ドルのレジスタンスをテストしていることだ。一方でビットコイン先物市場全体のトレーダーの80%近くがビットコインをロングしている。
(出典:CryptoISO「ビットコインのファンディングレート、約定率、建玉」)
ファンディングレートの上昇と大口長期契約
ビットコインの先物市場ではトレーダーは通常、永久契約で取引する。これは従来の先物契約とは異なり、期限によってポジションを強制的に解消するリスクがないものだ。
こうしたことから、先物取引所は「ファンディング(資金調達)」と呼ばれるメカニズムを採用している。市場が多くのロング契約をしている場合、ロングしているトレーダーは、ビットコインをショートしているトレーダーに補償金を支払うというものだ。長期的な下落トレンドや上昇を防ぎ、市場のバランスを保つ狙いがある。
ビットメックスでは、ビットコイン永久先物のファンディングレートは0.05%。これはトレーダーが10万ドルのロングポジションを保有している場合は、ポジションを維持するためだけに1日150ドルを支払わなければいけないことを示している。
ファンディングレートが高額な場合、ビットコインの価格が下がり始めるとネガティブ要因になる。ポジションを保持するインセンティブがなくなり、ショートホルダーを補償できなくなる。
強いレジスタンス
強いレジスタンスレベルは急反落につながる可能性がある。5月に入ってから、これまでで1万ドルのレジスタンスに合計3回チャレンジしている。
(出典:Tradingview)
5月8日にはビットコインは10085ドルまで上昇したが、価格を維持できず、最終的には8100ドルまで下落した。5月14日にはビットコインは9970ドルまで急騰したが、その後9100ドルまで下落した。
今日も9910ドルまで上昇したものの1万ドルのレジスタンスは破れなかった。
こうした高値の切り下げ(Lower High)が3回連続で起きたことはビットコインが短期的に急激に調整する可能性を高めている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン