米国の先物取引所であるLedgerX(レッジャーX)は、現物決済によるビットコイン(BTC)先物契約を導入した。これにより、投資家はBTCの現物引渡を受けることができる。一部のアナリストは、これがBTC価格への影響を増幅させると考えている。

XBT/USD daily chart

出典: TradingView.com XBT/USD デイリーチャート

現物引渡はBTC価格にどのような影響を及ぼすのか?

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社インターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)によってデジタル資産取引所バックト(Bakkt)が立ち上げられたとき、大きな注目を集めることになった。バックトに関する最大の関心部分は、ビットコインの現物引渡を行うという点だった。つまり、機関投資家が希望する場合、実際にバックトのカストディ(保管)サービスを介して、BTCを保有することができる。

当時、仮想通貨(暗号資産)分野で著名な弁護士であるジェイク・チャビンスキー氏は、ビットコイン価格に影響を与える可能性があると強調していた

「また、注目に値するのは、バックトがリアルなビットコインを保管し、提供するという事実だ。これは、機関投資家の流入によって供給が減少し、したがって価格を上げることを意味する(おそらく)。これはCMEやCBOEなどの現金決済先物のみを扱うほかの先物市場とは異なる点だ」

現物決済されたビットコイン契約は、実際の供給量に影響を与えるため、BTC価格に影響を与える可能性があるということだ。投資家が現金決済の先物契約を取引するときには、実際にBTCを購入するわけではない。このため、仮想通貨の供給量に対する影響は軽減されている。

LedgerXの先物取引所では、BTCでロングポジションをオープンにしている投資家は、デジタル資産を現物で引き渡されることができる。取引所のオーダーブックは、市場の厚みについて透明性を提供し、機関投資家が市場を評価できるようにしている。LedgerXは次のように説明している

「投資家は、自分の立場からトレードアウトするか、満期までホールドし、ロングの場合はBTCを受け取ることができる。すべての注文は私たちのオーダーブックで実行され、市場の厚みについて完全な透明性を提供される」

現物決済されたビットコイン契約を提供する先物取引所の数が増えることは、市場全体の流動性に利益をもたらす可能性がある。LedgerXのザック・デクスターCEOは、次のように述べている

「先物は常に弊社のロードマップの一部であり、今回ローンチできたことはエキサイティングなことだ。先物とオプションはトレーディングの世界で大きな部分を占めており、プラットフォームの流動性とリスクを効果的にヘッジする機能を強化するには、上場商品の完全なスイートを用意することが重要であると考えている」

最近の先物市場の低迷

ここ数週間、特にビットコインが12,000ドルから急落した後、先物市場は低迷していた。取引量は減少しており、特に個人投資家向けプラットフォームでは建玉が著しく低下した。

ビットコインの勢いは短期的に低下しているにもかかわらず、機関投資家の活動は着実に高まっている。

9月2日、グレイスケールのバリー・シルバートCEOは、同社の運用資産が過去最高を記録したと語った。運用資産の63億ドルのうち、グレイスケール・ビットコイントラストは50億5400万ドルを占めている。

ビットコイン市場での機関投資家の活動が成長するにつれ、様々な規制対応企業が多様な商品スイートを提供することにより、市場のインフラがさらに強化されることになるはずだ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン