イーサリアム2.0(セレニティ)立ち上げに向けて、Spadinaと呼ばれるテストネットが29日に立ち上げられた。

Spadinaはメインネット立ち上げに向けた短期間の「最終リハーサル」として提案されたもので、イーサリアム2.0の開始が近づいていることを示しているものだ。Spadinaは9月29日午後12時(UTC時間)にローンチされ、72時間という短い時間のみ稼働する。

開発側によると、Spadinaはフェーズ0が開始される前に、イーサ(ETH)保有者のデポジットとローンチツールをテストする最後のチャンスになる可能性が高いとしている。これまでのイーサリアム2.0のテストでは、ブロックチェーンを止める事態が起きたほか、度々計画が延期されている。ただ、Spadinaでは実装が困難とされているデポジットプロセスでは大きな問題は見られず、クライアントはブロックを正常に処理していることから、今回のテストは概ね成功しているようだ。

イーサリアム2.0に向けては、8月からすでに一般向けテストネットである「Medalla」が稼働している。これはイーサリアム2.0の初期段階であるフェーズ0のテストネットだ。

ただ、SpadinaでもMedalla同様に、参加率が予想を大幅に下回った。最初のいくつかの検証プロセスでは目標としていた参加率80%に対し、実際にコンセンサスプロセスに参加したのは34%以下だった。

こうした低い参加率はバリデーターに登録した多くのメンバーが、立ち上げの際にオンラインにならなかったことを示している。開発側は、テストネットのイーサには価値がないため、テストネットのイーサの動きにインセンティブがないためだと考えている。

実際のイーサを使った、メインネットの立ち上げでは、より主体的なユーザーが参加することが期待される。

イーサリアム財団でイーサリアム2.0のリードコーディネーターを務めるダニー・ライアン氏は、こうした状況の中でも「期待通りの90%のものが手に入った」と述べている。予定されている2020年内のイーサリアム2.0開始に期待が持てそうだ。

イーサリアム財団が公開したイーサリアム2.0の特設ページよると、イーサリアム2.0はフェーズ0に移行したとに4段階に分かれて開発が進められることがわかっている。

現在のコンセンサスアルゴリズムであるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行が進められるイーサリアム2.0。現在行われているフェーズ0に向けた開発はバリデーター管理のための「ビーコンチェーン」の実装に向けたものだ。

フェーズ0に移行してもすぐにPoSに移行するのではなく、2021年に予定されている「フェーズ1.5」でPoSになるとされている。

イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は「ETH2.0のネットワークは徐々に機能を追加し、時間の経過とともにエコシステムにとってより重要になっていく」と述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン