日本暗号資産ビジネス協会と日本暗号資産取引業協会は7月31日、2024年度税制改正要望書を提出した。
要望は大きく「分離課税」、「法人税」、「資産税」、「暗号資産同士の交換」の四種類。分離課税と資産税に関しては、例年の要望と変わらないが、「法人税」は他社発行トークンに関する課税方針の見直しを求めたほか、「暗号資産同士の交換」に関しては今回から新たに要望項目として追加された。
分離課税に関しては、仮想通貨取引の利益を現在の総合課税50%から申告分離課税20%に引き下げることや損失の繰越控除の適用を求めた。分離課税に関しては毎年要望しているが実現できていないことに関して、JCBA税制検討部会の斎藤岳部会長によると、金融庁はじめ政府との議論の中で「社会的な機運が足りない」ことが課題となっているという。
資産税に関して、相続により取得した仮想通貨を譲渡する際の計算方法について言及。現在は最高税率で課税された場合、相続した暗号資産の価値を超える税負担となることを問題視し、「相続財産評価について、上場有価証券と同様、相続日の最終価格の他、相続日の属する月の過去3ヶ月の平均時価のうち、最も低い額を時価とする」ことなどを要望した。
法人税に関して、他社発行の暗号資産を継続的に保有する場合の期末直評価課税の対象外とすることなどが盛り込まれた。期末時価評価課税に関しては2023年の税制改正で、短期売買目的以外での自社発行の暗号資産に関しては課税からは外されたものの、他社発行トークンに関しては課税対象となっており、日本国外の有力企業の流出や海外の有望プロジェクトへ出資の対価としてトークンを受け取ることへの障害となり事業提携が順調に進まないなど、日本国内の仮想通貨エコシステム醸成の足枷となっている。
また、ビットコインとイーサリアムなど「暗号資産同士の交換」に関して、暗号資産同士を交換した際には課税せずに、法定通貨に交換した時点で課税対象とすることを求めた。しかし、暗号資産同士の交換については新たな計算方法の採用やステーブルコインの取り扱いなど検討すべきことが多岐にわたるため、優先順位は低く「将来的な要望」とした。