米大手金融機関のJPモルガンは22日、仮想通貨取引所コインベースの株価を「アンダーウエイト」評価に引き下げた。ビットコイン(BTC)の価格下落と、BTC現物上場投資信託(ETF)の承認が理由とされる。

同日付の投資家向けレポートでJPモルガンのアナリストは、コインベースの株価(ティッカー:COIN)は今後も好調に推移しないとの見方を示した。ナスダックのデータを見ると、COINの価格は過去30日間で29%以上下落し、執筆時点では121.65ドルとなっている。

JPモルガンは「コインベースは米国の仮想通貨エコシステムでの有力な取引所であり、仮想通貨取引と投資の世界的なリーダーとして認識している。しかし、仮想通貨エコシステムを冬の時代から押し出すとされたビットコインETFの承認は、市場参加者を失望させている可能性が高い」と述べた。「仮想通貨価格はすでに売り圧力にさらされており、このノート執筆時点でビットコインが4万ドルを下回っていることは、仮想通貨ETFの熱狂が冷めており、これがトークン価格の下落や取引量の減少につながっていると想定している。そうした状況はコインベースのような企業にとって収益機関の減少になるだろう」

以前、COINを「ニュートラル」評価としていた同行は、2024年12月までに80ドルまで下落すると予想した。JPモルガンによると、複数のBTC現物ETFの承認は、仮想通貨業界にとって「重要なきっかけ」となる可能性があり、仮想通貨の価値を過大評価し、株価にも影響を与えるという。

「BTC現物ETFは、仮想通貨業界の多くの人が承認を前に抱いていた高い期待に比べて、期待外れだった」

米証券取引委員会(SEC)は、1月10日、複数のBTC現物ETFの承認を正式に発表した。しかし、その前日の1月9日には、ハッカーが、SECがETFの承認を行ったと偽のツイートをポストしたことにより、仮想通貨市場に急激な変動が生じた。

JPモルガンは「仮想通貨業界はETFのローンチに高いハードルを設定したが、意味のある出来事ではあっても、期待は単純に高すぎると現実的ではない」と述べた。

ビットコインは、1月11日に過去30日間の高値となる4万9000ドル以上を記録したが、その後20%以上下落し、執筆時点では3万8796ドルとなっている。

ブルームバーグのETFアナリストであるジェームズ・セイファート氏は1月23日に発表したレポートで、BTC現物ETFは7日間の取引で7600万ドルの純資金流出を記録したと報告した。また、SECが承認した10のファンドは、取引開始から3日間で合計100億ドルの取引高を記録したという。