システム開発大手のTISと野村総合研究所が、スタートアップのブロックチェーンロック(BCL、東京・千代田)へ出資したことが分かった。BCLが23日に発表した。TISと野村総研の出資額は非公表。BCLは、シェアリングエコノミー向けのブロックチェーンと、ブロックチェーンを実装するためのIoTデバイスやアプリも開発している。TISは、今回の出資を機に自社の顧客向けにBCLのブロックチェーンサービスを提案していく。

 BCLが開発している「BCLチェーン」は、コンソーシアム型の商用ブロックチェーンとして、住宅やオフィス、モビリティなどのシェアリングサービスへの導入を目指している。2018年第1四半期にブロックチェーンのテストネットを公開、同年第3四半期にメインネットをローンチする計画だ。

 「BCLチェーン」はコンソーシアム内のパートナーがマスターノードとなってデータの検証を行う。ブロックチェーンにノードを設置するパートナーにはトークンを配布することでインセンティブを与える仕組み。シェアリングサービスで活用する企業は、チェーン上にサブチェーンを立ち上げ、独自のサービスを展開してもらう。

 BCLはスマートフォンなどによって開錠できる「スマートロック」といったデバイスの開発も同時並行で進めている。年内に国内の住宅を対象にデバイスの実証実験を行い、今年12月には日本国内で「スマートロック」のデバイスを発売する。

 BCLは、楽天のブロックチェーンラボの代表を務めていた岡本健氏らが創業。シンガポールに設立したBCLファンデーションがブロックチェーンのインフラ構築を担い、BCL社がIoTデバイス開発や日本でのユースケースの開拓を手掛ける。現在は30人規模でブロックチェーンとデバイスの開発を進めている。

 将来的には民泊や宅配ボックスといったサービスとスマートコントラクトを組み合わせたサービスを提案していく。BCLの岡本CEOは「すでに不動者や宅配サービスなど30以上の商談が進んでいる」と話す。岡本氏は、BCLチェーンの導入で従来よりも「シェアリングビジネスを構築するスピードが加速できる」と語る。

 TISは今回の出資について、「IoTおよびスマートロック市場に向けたITサービスの提供を加速するために出資を決定した」と説明。TISのクライアント向けにBCLのブロックチェーンサービスの導入を働きかける。TISによれば、同社の顧客の中でも店舗管理、民泊、オフィス分野などで「一時的に信用を供与するニーズは幅広くある」という。BCLのシステムと、TISの決済ソリューションを連携させた提案もしていく考えだ。