イスラエルのベニー・ガンツ国防大臣が、ハマスの軍事部門のものと考えられる仮想通貨アカウントを差し押さえる権限を治安部隊に与える命令に署名した。ハマスは、パレスチナのガザ地区を実質的に統治している組織である。

ガンツ大臣は、国防省のテロ資金対策局と治安部隊との共同作戦に言及した。作戦により、ハマスおよび、ハマスが実行しているビットコイン(BTC)などの仮想通貨を使った資金調達につながりがあると思われる「電子ウォレットを暴いた」という。

ハマスは仮想通貨を使った資金調達を長期間実施しているが、今年5月のイスラエルとハマスとの11日間の戦闘後、より活発化していると思われる。声明の中で国防相は、当局が使用し、「作戦の突破口」として資金の阻止に成功した「諜報・技術・法的ツール」に言及した。

国防省が差し押さえたウォレットの詳細からは、テザー(USDT)、イーサ(ETH)、ドージコイン(DOGE)、リップル(XRP)、バイナンスコイン(BNB)、Zキャッシュ(ZEC)、ライトコイン(LTC)のほか、複数のアルトコインが含まれていることが判明した。

ハマスは、米国や欧州連合などから全体または一部をテロ組織に指定されており、経済的孤立状態にあるため、仮想通貨に依存するようになった。

07年からガザ地区を支配しているハマスには、社会事業部門の「ダヴァフ」と軍事部門の「イッズッディーン・アル=カッサーム旅団」が含まれる。ハマスのビットコインによる資金調達の大部分は、軍事部門によるものとして記録されている。近年、アル=カッサーム旅団の手法はますます洗練されてきており、ハマスの活動につながるウォレットを捜査当局が特定することが難しくなっている。

ヘルツェリヤ学際研究所の国際テロ対策研究所(ICT)が20年に公表したサイバーデスク報告書によると、ハマスおよび、イランとつながりのあるナセル・サラ・アル=ディーン旅団(人民抵抗委員会の軍事部門)は、4年間で3370BTC近くの調達に成功している