3月10日、仮想通貨市場とハイテク株が大幅に売られた。ホワイトハウスが懸念を和らげようとするも、米国の景気後退への不安が市場を圧迫した。
ウォールストリートの投資銀行JPモルガンのエコノミストは、2025年初めに30%だった米国の景気後退リスクを40%へと引き上げた。ウォールストリートジャーナルによると、アナリストは「極端な米国の政策が原因で、今年中に米国が景気後退に陥る重大なリスクがある」と語っている。
また、ゴールドマン・サックスのエコノミストも、12カ月以内の景気後退確率を15%から20%へと引き上げた。同社の予測では、「トランプ政権が悪化する経済データを無視して政策を継続する場合、さらに確率が上昇する可能性がある」という。
一方、モルガン・スタンレーは先週、経済成長予測を引き下げ、インフレ率の見通しを引き上げた。2025年の米国GDP成長率はわずか1.5%、2026年には1.2%に低下すると予測している。
トランプ政権の経済楽観論
このような景気後退懸念が高まる中、トランプ大統領の経済アドバイザーは、景気後退の可能性を否定した。3月10日にCNBCへ出演した国家経済会議(NEC)議長のケビン・ハセット氏は、米国経済には楽観できる要因が多いと主張した。
「今後の経済に対して極めて強気になれる理由は多くある。しかし、確かに今四半期のデータにはいくつかの揺れがある」とコメントした。
また、3月9日にFox Newsのインタビューを受けたトランプ氏は、景気後退の可能性について「米国経済は今、転換期にある」と述べるにとどまった。
ブロックチェーンを活用したベッティングプラットフォームのポリマーケットは、米国の景気後退確率のチャートを指し、「今、金融市場で最も美しいチャートだ」と皮肉った。
Source: Polymarket
ハイテク株と仮想通貨市場が暴落
「トランプ・バンプ(Trump Bump)」と呼ばれた米国株の上昇は完全に消え去り、S&P500はトランプ氏が2024年11月5日の大統領選で勝利する前の水準を下回った。
S&P500は先月の高値から10%近く下落し、ナスダックはわずか3週間で14%の下落となり、調整局面に入った。
Source: Google Finance
3月10日の米国市場は全面安となり、S&P500は2.7%下落し、9月以来の安値を更新。ハイテク株中心のナスダックは4%下落し、2022年以来最悪の1日を記録。ダウ平均株価も900ポイント(約2.1%)下落した。
米国を代表するハイテク7社「マグニフィセント・セブン」も大幅に下落し、1日で総額7500億ドル以上の時価総額を失った。テスラは15%下落し、S&P500で今年最もパフォーマンスの悪い銘柄となった。
AI最大手のエヌビディアは5.1%下落、アップルは4.9%、メタは4.4%、アルファベット(Google)は4.5%の下落となった。
一方、仮想通貨市場も急落し、3月11日時点で時価総額は7.5%下落し、2兆6000億ドルになった。約2400億ドルが市場から消えた。
仮想通貨市場の時価総額 Source: CoinMarketCap
ビットコイン(BTC)はこれまでのサポートラインを下抜け、当日4%下落し、7万6784ドルまで下落。その後、わずかに回復し、執筆時点では7万9000ドル付近まで戻している。