インテルとソフトウェア大手のSAPは、「市場のギャップ」に対応するため、大企業や公的企業を対象にしたエンタープライズ市場におけるブロックチェーン・システムを支えるソリューションに焦点を当てて提携関係を築いていくことを、4日インテルのオフィシャルサイトで発表した。
インテルとSAPは、エンタープライズ・インフラストラクチャー・プラットフォームにおいて、25年に渡るコラボレーション関係を築いてきており、最近ではSAP主導のグローバルなブロックチェーン・コンソーシアムの創設により、ブロックチェーン技術も包括されるようになった。
インテルの発表した記事では、これまで両社のブロックチェーン・イニシアチブについて説明がされており、両社が密に連携して開発を進めるSAP HANAデータ管理システムとの相互運用可能性を目的とした記述もある。
SAP HANAブロックチェーン・アダプタは、最近発表されたSAPのクラウド・プラットフォーム・ブロックチェーンと連携し、SAPのユーザーは、オンプレミス(自社運用)かクラウドかに関わらず、SQLインターフェイスと標準SQLコマンドでSAP HANAのブロックチェーン・データにアクセスすることが可能だという。
またSAPは、SAPのクラウド・プラットフォーム・ブロックチェーン上にブロックチェーン・アズ・ア・サービス(BaaS)を立ち上げた。ユーザーがペイ・アズ・ユー・ゴー・モデルを使用してエンタープライズとブロックチェーン・データの統合することができるようになるという。
インテルは、ブロック・チェーン・アプリケーションの基盤となる処理能力とスピードを備えたプロセッサー・テクノロジーを供給できると強調。また、インテル・ソフトウェア・ガード・エクステンションズ(Intel SGX)はブロックチェーンのソースコードとデータのセキュリティを強化し、スループットとコンセンサス効率の向上に繋がると主張している。
SAPとインテルのコラボレーションにおいては、他社(UPS、Flex、HPEなど)との提携も行っており、インターナショナルトレードと呼ばれるブロックチェーンベースのサプライチェーン・マネージメントの概念実証ソリューションを確立しようとしている。
インテルとSAPは、ブロックチェーン関連の他の取り組みとして、スループットの低下を引き起こす可能性のあるネットワークのボトルネに対処するため、ブロックチェーンのメトリクスを分析する研究を行っている。両社はさらに、個別のブロックチェーン活用事例の技術標準を制定するため、パラメータを定義し、特定のハードウェア構成に対処しようとしている。
報じられたように、インテルは、分散型アプリケーション(DApp)プラットフォームEnigmaとのパートナーシップにおけるプライバシー調査を今夏の焦点としていた。Enigmaはブロックチェーン・テストネットを立ち上げる準備をしている。またインテルは、ヘルスケアを含む複数の業界を跨ぐブロックチェーン関連のパートナーシップを持ち、仮想通貨のハードウェア企業レジャーと提携している。