シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)によると、機関投資家が保有する仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)のロングポジションが過去最高を記録している。しかし、CMEの最新レポートによると、ヘッジファンドのショートも過去最高を記録している。
ヘッジファンドと機関投資家とでは、ビットコインの短期と中期のトレンドに対して、認識に大きな違いがあるようだ。

(出典:スキュー「CMEビットコイン先物の建玉」
なぜヘッジファンドはショートをして、機関投資家はしていないのか
ヘッジファンドは通常、投資家のリターンを得るために、様々な戦略を実施している。多くの場合、ヘッジファンドはデリバティブを利用し、リスクの高い戦略を採用する。
一方で、ビットコインにポートフォリオの数%を割り当てているであろう機関投資家は、長期的な戦略を持っている。そのため機関投資家は短期から中期のパフォーマンスを気にしていない。
一部のアナリストはヘッジファンドがビットコインをショートしているのは、ビットコインをロングしている機関投資家に流動性を提供するためだと指摘している。
機関投資家がロングポジションを積み上げると、注文板のバランスを取るために、CMEには売り手が必要となるからだ。仮想通貨アナリストのミシェル・ニコルソン氏は次のように話す。
「多くのヘッジファンドがCME先物をショートしている可能性が高く、ベーシス(価格差)を捕捉したり、ロングをする機関投資家に流動性を提供したりしている。」
テクニカル的にヘッジファンドは、重要なレジスタンスが繰り返し拒否された後にビットコインをショートしている。ビットコインは8月以来、11700ドルから12000ドルのレジスタンスを抜け出せていない。
Bluntzという偽名で知られる仮想通貨トレーダーは、現在のビットコインのチャート構造は今年2月のチャートと似ていると指摘する。ビットコインはその後の3月に急落し、ビットメックスでは3596ドルまで下落した。
ヘッジファンドがビットコインをショートしているのか、CMEのロングに流動性を提供しているのかは建玉にから確定的なことは言えない。Skewは次のように主張する。
「新しいCMEのレポートがビットコイン先物に役立つ。ヘッジファンドは常にショート、機関投資家は常にロング。誰が間違っているのか?」
機関投資家は高い需要継続
ヘッジファンドによるショートポジションが拡大しているにも関わらず、機関投資家はビットコインの保有を高めている。
10月17日、仮想通貨投資信託を手がけるグレイスケールのバリー・シルバートCEOは、同社の運用資産残高(AUM)が過去最高の64億ドルに達したと述べた。グレイスケールは主に機関投資家向けにサービスを展開しており、運用資産残高は機関投資家の活動を測定する指標となる。
米国では証券取引委員会(SEC)が承認したビットコインETF(上場投資信託)はない。そのため、機関投資家はビットコインへのエクスポージャーを得るために、ETPに近い運用を行うグレイスケールに依存している。
マイクロストラテジーやスクエアなど、ビットコインに投資している数十億ドル規模の大手起用も、ビットコインを準備資産として扱う意向を強調している。少なくとも短期から中期にはこれらの機関は、保有するビットコインを売却する可能性は低いだろう。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン