映画「トランスフォーマー」の主題歌などで有名な米人気ロックバンド「リンキン・パーク」(英語: Linkin Park)のボーカリストであるマイク・シノダ氏が、NFT(ノンファンジブルトークン)と呼ばれる非代替性の仮想通貨を使った音楽作品のオークションを行っている。ノンファンジブルトークン(Non-Fungible Token)とはインターネット上でこれまで実現が難しかったファイルの唯一性や希少性を実現するものだ。

NFTの仕組みを使うと、音楽などの芸術作品をデジタル上で所有したり、取引することができる。イーサリアム価格の上昇とともに最近また盛り上がってきている分野だ。

ブロックチェーンを使った芸術作品の価値や価格発見の仕組みについてまだ確立されているとはいえないが、作品をつくった人と所有者の間でライセンス料を共有できる仕組みや、作品購入後もデジタル作品がアップデートされていく仕組みなど、様々な応用が研究されつつある。

シノダ氏が今回公開した作品は「100分の一の流れ」という楽曲で、現在は約60万円(4 wETH)の入札がある。

シノダ氏によると今回の試みは「実験」だが「iTunes等のサービス業者に一曲アップロードしても1万ドルに近づくことはない。手数料、レーベルへの支払い、マーケティング費用などで消えていくからだ」とコメント。ユーザーに直接権利を売るという手法に魅力を感じているようだ

NFTに特化した投資グループ「フラミンゴDAO」のメンバーであるアーロン・ライト氏はコインテレグラフに対し「仮想通貨イーサリアムのビジョンの1つはWeb3と「所有者経済」の創造だ。NFTの成長によりそれが実現しつつある。有名人は今後広告ベースのビジネスモデルに頼るのではなく、クリエイティブな作品を販売することでオンラインでコミュニティやファンと直接交流できるはずだ」とコメントした。

シノダ氏は「インスタにアップロードするものなんて価値がない。そういう考えは間違っている。そもそもインスタ運営企業はそれで儲けている。NFTだと同じ投稿がユーザーであるあなたに直接価値をもたらすのだ」と締めくくっている。