仮想通貨(暗号資産)のビットコイン(BTC)の採掘難易度は5月20日、マイナス6%の調整となった。5月のビットコイン半減期以降、ハッシュレートが大幅に低下したことを受けての調整だった。
果たしてハッシュレートや採掘難易度とビットコインの価格の関係は実際に今どうなっているのか。ビットバンク(bitbank)のアナリスト、長谷川友哉氏に聞いた。
「需給のバランスを測る1つの指標に」
長谷川氏はハッシュレート・採掘難易度と価格の関係について、「需給のバランスを測る1つの指標」になると指摘している。
「ハッシュレートおよびディフィカルティーが上がり相場も上がる」といった単純な関係は17年以降に薄れました。相場は過熱感が出ると天井をつき反落する傾向がありますが、参加者が減るほど難易度が下がり有利になるマイニングの競争率は、こうした相場の性質と異なり上昇傾向が続きやすいと言えます。こうした競争原理が働き長期的に上昇しやすいハッシュレートですが、相場の逆行安が続くと、相場の急落と共に低下する傾向があり、需給のバランスを測る一つの指標にとして見ています。
ただビットコインのマイナーのBTC売却と相場急落との関係については一定の留保が必要だとも指摘している。
尤も、基本的にマイナーの多くは高値で売り抜ける戦略であることと、特に中華系の大規模なマイナーはクリプトを担保にローンを組んでいることが多いと言われている為、実際にそうした相場急落がマイナーの売りによるものかはあくまで推測で、相場がハッシュレートの上昇に対して逆行安になることが市場参加者の警戒感を高めることも一つの要因かと存じます。
5月12日にビットコインは3回目の半減期を迎えたことで、長谷川氏はビットコインネットワークへの注目度は高まっていると指摘している。
足元の状況は、半減期後ということもありユニークだと思います。暗号資産(仮想通貨)がメインストリームに台頭して初めてとなるビットコインのビッグイベントだったため、相場やネットワークにいかなる影響を与えるか、様々な面で注目度は高いでしょう。
短期的な価格への影響は?
それではビットコイン価格への短期的な影響はどうなるのか。長谷川氏は「短期的には相場の重石になる」とみている。BTC相場が復調するには半減期直前の難易度16.1テラから一定の調整(約30%低下)が必要になるとみている。
短期的には相場の重石になると見ています。相場は半減期の際の水準と変わりませんが、マイナーにとって報酬半減は相場50%下落とニアイコールです。ディフィカルティーが低下するまでは実需の売りとそれへの警戒感が相場に売り圧力をかけると指摘されます。レポートでも触れましたが、相場が復調するディフィカルティーのターゲットは11.27テラと見込んでいます。あくまで相場が水準を保てればということになりますが、18年末に相場が50%下落した際、ディフィカルティーは30%低下した後に相場と共に復調しました。半減期前のディフィカルティーが16.1テラだった為、30%低下した11.27テラあたりまで下がればマイナーの収益も安定するかと予想しています。
ビットコインキャッシュの提唱者の1人であるハイデン・オットー氏もビットコインの難易度調整について、「半減期を過ぎてからすでに1回の難易度調整が行われているが、落ち着くまではもう1~2回の調整が必要になるだろう」とみている。
直近の難易度調整では6%低下となったが、BTC.comでは次回の難易度調整は6.3%低下と推定しており、実際にさらなる調整が行われる見込みだ。