半導体製造で世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、2018年の売上高予想を従来の10~15%増から10%増に引き下げた。仮想通貨のマイニング需要の先行きが不透明となったためだ。CNBCが報じた

 モルガン・スタンレーはTSMCの売上高の1割は仮想通貨のマイニング需要に依存していると推定している。モルガン・スタンレー台湾のアナリスト、チャーリー・チャン氏は「ビットコインマイニングのハードウェア需要と価格は今後下落し、TSMCのウエハー需要にも影響するだろう」と分析する。

 TSMCは第1四半期の仮想通貨マイニング需要は大きく、第2四半期も需要は続くと述べた。しかし仮想通貨のマイニングハードウェアに使用される28ナノメーターの製造ラインの需要が弱まる可能性も懸念している。モルガン・スタンレーは仮想通貨を巡る状況が変化する可能性を指摘する。

「たとえ電気代を非常に低く見積もっても、(ビットコインの価格が)8600ドルというのが大規模なマイニング施設にとって損益分岐点になると推定している。…新しいマイニング能力の投入は、18年第2四半期においてマイニングをより困難にするだろう。ビットコインの価格が同じであっても、我々のシミュレーションによれば、マイニングによる収益は急速に落ちると考えている」

 一方、モルガン・スタンレーは、ASICチップに特化した企業であれば、ビットコイン価格が今後2年間で5000ドルを上回っていれば、損益分岐点を上回ると指摘する。

 またCNBCは、バーンスタインのアナリストによるTSMCのチップの需要はほとんどが中国のマイニング企業ビットメインのものであるという分析を紹介している。