ドイツのキャメロット・コンサルティング・グループが、機密性の高い医療データ管理を目的にした、ブロックチェーンによるソリューションを開発した。コインテレグラフ・ドイツが9日つたえた

 同社はデータ管理システムのハイパートラスト・Ⅹチェーンを使って、患者のデータをやり取りするために、安全なデジタルプラットフォームを医療業界に提供する。治療プロセスに関わる権限を持ったすべての関係者が、ブロックチェーン技術に基づいた分散型データストレージを利用できるようにする。

 全てのデータ取引は暗号化され、ブロックチェーン上に保管された後、権限を持った関係者間で直接やり取りされる。また、提携するシステムの統合やリアルタイムでの温度・位置・品質管理なども可能になる。キャメロット・コンサルティング・グループは、患者の細胞を取り出し、複雑な多段階の工程によって処理する体外細胞治療を例に挙げ、従来の方法と比較した時のシステムの利点を説明する。

「この工程には治療する病院、細胞を取り出す施設、物流業者、製薬企業といった多くの様々な関係者が携わる。現在のところ、最重要データはいまだにアナログな方法で受け渡しされている。さらなる工程の過程で、記録を書き直すためだ。それゆえデータに間違いが生じたり誤用されるリスクが非常に高い」

 同社によると、ハイパートラスト・Ⅹチェーンの閉ループ・サプライチェーンを使ったアプローチは、治療中のデータやサンプルのあらゆる取り違えや誤用を防ぐという。

 キャメロット・コンサルティング・グループが開発したこのシステムは、データ管理のための多数のブロックチェーンプロジェクトの1つに過ぎない。チリの国家エネルギー規制機関は数日前に、イーサリアムに基づいたプラットフォームを通して国家エネルギー部門のデータを管理する予定と発表した。

 ポーランドの大手銀行であるPKOバンク・ポルスキは最近、顧客書類管理のためにブロックチェーンに基づいたストレージと検証システムを導入する予定があると発表した。コインテレグラフが3月に報じたように、アウディは現在、国際物流における物理的・金融的な流通プロセスを処理するための独自のブロックチェーン技術を検証している。